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陸上・丹野麻美の日本新記録が意味すること
アイドルスプリンターとして人気の高い陸上400mの丹野麻美(22)=ナチュリル=が、約2年8か月ぶりに自己のもつ日本記録を更新した。5月3日に静岡スタジアムエコパで行われた静岡国際で、福島大学時代の05年9月にマークした従来の記録を0秒05更新する51秒75で2位フィニッシュ。女子400mでは64年東京大会の小川清子以来、44年ぶりとなる五輪代表選手誕生へ好調なスタートを切った。
丹野は昨年の世界陸上大阪大会で日本女子として史上初の準決勝進出を果たした。日本人女子で唯一、52秒の壁を破った実績もある。有酸素運動と無酸素運動の両面を併せ持つゆえに日本人が不得手とする400mへの期待が必然的に膨らんでくるが、丹野を指導するナチュリルの川本和久監督は浮かれたムードを一笑に付す。
「400mで決勝に残るには50秒を切らないといけない。絶対に(決勝に)行けません」
ならば、丹野の照準はどこに定められているのか。福島大学の監督も務め、丹野を指導して通算5年目になる川本監督は北京五輪出場を当然とした上で「51秒台の前半を出して準決勝に進むこと」と2つの目標を掲げた。同監督によれば世界陸上と五輪とでは「準決勝の価値が違う」という。
「世界陸上では3組24人が準決勝に進め、丹野はギリギリの24位で引っ掛かったという状況でした。しかし、五輪では1次予選、2次予選があり、準決勝に進めるのは2組16人です。大阪のときより8人を抜くことになります。これは大変なことです。世界の16番に入るためには、51秒台の前半が必要なんです」
川本監督の指摘通り、世界陸上大阪大会の準決勝で敗退したときの丹野のタイムは51秒81だった。
川本監督は丹野の走りを「省エネで走れるからスピード持久力がある」と特にテクニック面で評価している。前回の日本新記録はそうした天性の素質に導かれた部分が大きかったが、約2年8か月の充電期間を経た今回は素質に地力が備わった証と言えるだろう。
川本監督の指導はまず「地面を強く踏む」ことを軸とした独特の走り方を教え、あとは同じことを徹底して繰り返すことを基本とする。同監督の言葉を借りれば「雪が積もったグラウンドで雪玉を転がすように、だんだん大きくなればいい」となる。
大学の4年間の指導では時間が足りないこともあり、06年3月には化粧品や健康食品を販売するナチュリルとの間でナチュリル・アスリート・クラブ(NAC)を発足させた。ナチュリルは東京都内に本社があるが、NACは部員9人全員が福島大学で川本監督の下で練習を積む。今春にナチュリルに入社した丹野も「10年あれば監督の考えを自分のものにできる」と競技環境を変える必要がなくなったことを歓迎している。
84年から福島大学を率いている川本監督だが、教え子が五輪の舞台に立つ姿はまだ見たことがない。北京に大きく近づいた丹野の成長はもちろん嬉しいが、究極の夢を「五輪や世界選手権でのメダル」に定めている以上、静岡国際での日本新記録も北京五輪もあえて通過点と捉える。
2人の間では、コンビを組んで9年目となる4年後のロンドン大会で日本をアッと驚かせる壮大な青写真が描かれている。その実現のためにどうしても必要なのが、400mで51秒台の前半にまで自己記録を伸ばすことだった。(5月22日発売の論スポ創刊号に詳細掲載)
文=論スポ副編集長
2008年5月10日 02:40|記事URL|コメント(0)|トラックバック(0)
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