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ラモスが見た中田英寿の可能性

 元日本代表の中田英寿氏(31)が14日、約2年ぶりにピッチの上でプレーする姿を披露した。地球環境問題などの啓発イベントとして実施する6月7日の親善試合(日産スタジアム)への試運転として、東京ヴェルディのサテライトチームとの練習試合(30分×2本)に出場したもので、自軍の2ゴールをアシストするなど往年のキラーパスと存在感を見せつけた。


 長く伸びた髪をポニーテール風に結った中田氏が一員として出場したのは、日本代表やアトランタ五輪でともに戦ったメンバーで構成される「JAPAN STARS」。監督を日本サッカー協会の釜本邦茂副会長、コーチを元日本代表コーチの山本昌邦氏が務め、先発はGK下川健一、DF中村忠、柳本啓茂、中西永輔、名良橋晃、MF山口素弘、沢登正朗、前園真聖、奥大介、FW松原良香(すべて敬称略)とそうそうたる豪華メンバーだ。
 練習試合は東京・稲城市の東京ヴェルディの人工芝グラウンドで行われたが、新聞などによる事前告知はいっさい行わなかったにもかかわらずグラウンドの周囲を約1000人のファンが取り囲み、ホットドッグを売る出店までが登場した。Jリーグ創設当時の人気を思い起こさせる人気ぶりに黙っていられなかったのが、東京ヴェルディのラモス瑠偉エグゼクティブ・ディレクター(ED)だ。
「93年の頃を思い出しますね。あの時の方が多かったかな(笑)。それはともかく、いつもなら8人ぐらいしかファンがいないのに。今日は中田。みんな彼を見たかったんですよ」
 グラウンドの隅で観戦していたラモスEDの声のトーンは、中田氏が存在感を放つプレーを披露する度にヒートアップする。
「負けないよ。絶対に競り負けない。ほら、ボールを取られないでしょう。体の使い方がうまいもの。頭のいい選手は忘れないないんだヨ」
 試合終了間際にJAPAN STARSがカウンターを仕掛け、中田氏が自陣からトップスピードで前線に駆け上がった時には思わず唸った。
「この時間帯になっても全力でダッシュできている。他の選手は疲れているのに。フィジカルは完全にできてるヨ」
 試合は前半15分の中田氏のスルーパスを受けた沢登が先制ゴール。同点とされて折り返した後半2分にはカウンターからまたも中田氏のスルーパスから松原が勝ち越しゴール。最後は東京ヴェルディが現役の意地を見せて逆転勝ちしたが、2年前のワールドカップ・ドイツ大会のブラジル戦をもって電撃引退した後の約2年のブランクをまったく感じさせないプレーの数々に釜本監督も「現役時代を彷彿とさせる」と特にフィジカルの強さを称賛し、ファンからは何度も歓声や拍手が沸き起こった。


 そのファンの思いをラモスEDが代弁する。
「山口も沢登もみんなうまいけど、彼らは完全燃焼して現役を引退したことをファンのみんなも知ってる。でも、中田には期待する。まだ十分にできるって。復帰するんじゃないかって。まだ31歳でしょ。バリバリですよ。少なくても、あと2年はできる。そうじゃなかったら、午前中から雨降ってて、寒い中をこれだけの人が来ないヨ」

 試合後の中田氏は、集まった約100人の報道陣に対応した。現役の時は質問に対して木で鼻をくくるような態度を取ることが少なくなかったが、いまではそうした「尖がった」部分もなくなり、柔和な笑顔を何度も浮かべた。
――今日の試合を振り返って。
「このような機会を設けてくれたヴェルディと、集まってくれた選手のみんなに感謝したい。一度、代表とかでやったことのある選手たちなので知ってるし、非常に楽しかったですね。ただ、負けてしまったのが非常に残念。ただ、個人個人思うところはあると思う。僕自身、もっと動けないといけない。もう少し練習したい」
――釜本監督は「現役時代を彷彿とさせる」と絶賛していましたが。
「社交辞令でしょう(笑)。まだ3、4割。当日へ向けてもっと練習しないと。(6月7日は)まずプレーする方が楽しまないと」
――6月7日の試合を見に来るファンへ。
「まず第一は試合を楽しんでもらうこと。そうならなければ意味はない。その上で、解説的に映像をHPとかで流して、少しでも(世界の問題を)考えてくれれば(試合を企画した)価値はあると思う」
――相手の「WORLD STARS(世界選抜)」も、モウリーニョ監督以下、豪華なメンバーが集まるのでしょうか。
「そうなるように全力で集めてます。ただ、相手より自分たちがどれだけできるかが大事。勝利チームにはMVPとかも設けようと思っているので、自分がやる限りは自分でゲットできるように頑張りたい」

 クラブハウスに引き揚げる前にはファンのサインにも笑顔で応じた。かつてはプラチナペーパーとされた日本代表の試合も今やチケットが売れ残り、スタジアムには空席が目立ち、テレビの視聴率も芳しくない。
 それだけに事前告知なしで平日の午後に1000人を集めた中田氏のカリスマ的な存在感は、約2年間のブランクがあってもまったく色褪せることはない。
 ラモスEDは最後に期待を込めてこのように断言した。
「フィジカルは完全にできあがっているから、後はゲーム感覚を取り戻すだけ。ミニゲームや紅白戦で毎日ボールに触れば3か月で大丈夫。もったいない。旅なんかしてる場合じゃないヨ。オレが(現役復帰を)口説く!」
 WORLD STARSのメンバーは6月に入ってから発表されるが、現役復帰待望論を含めて、試合が近づいてくるほどに中田氏の周辺は騒がしさを増してきそうだ。
                                             (文・藤江直人)

2008年5月15日 09:25|記事URLコメント(0)トラックバック(0)

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