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岡田武史監督を待つ背水の6月決戦
サッカー日本代表の岡田武史監督(51)が文字通り背水の陣で正念場の6月決戦に挑む。コートジボワール代表(24日@豊田スタジアム)、パラグアイ代表(27日@埼玉スタジアム)と対戦するキリンカップ2008の日本代表メンバー27人が15日に発表され、セルティックのMF中村俊輔、ル・マンのMF松井大輔、ヴォルフスブルグのMF長谷部誠の海外組が招集された。
昨年12月に就任した岡田監督のもとでは長谷部は浦和時代に選出されているが、中村俊と松井は所属クラブの試合とのスケジュールが合わなかったこともあって、6月に4試合が組まれているワールドカップ・アジア3次予選につながる今大会が初めての招集。「彼らの試合はビデオで全部チェックしていた」と岡田監督は欧州のシーズン終了を待ち焦がれていたかのように期待を込めたが、サプライズは代表発表前に起こっていた。
この日に東京・文京区のJFAハウスで行われた日本サッカー協会理事会で、小山哲司・前環太平洋大学サッカー部総監督の日本代表チームコーディネーター就任が承認された。岡田監督と小山氏は早稲田大学サッカー部の同期生。コンサドーレ札幌では監督とチーム統括部長の関係でJ1昇格を果たし、横浜F・マリノスでは監督とGMの関係でJ1連覇を達成した。
年齢は大学入学前に一浪している岡田監督がひとつ上になるが、お互いを知り尽くした、まさに気心の知れた間柄である小山氏の加入は、イビチャ・オシム前監督時代のコーチ陣をそのまま残留させている岡田監督にとって特に精神面でプラスになる。元日本代表監督のフィリップ・トルシエ現FC琉球総監督が、通訳だったフローラン・ダバディ氏を「パーソナル・アシスタント」として重用したのと同じような関係と言ったらいいだろうか。
岡田監督は小山氏の役割についてこのように説明した。
「彼にはジャージ姿でグラウンドに降りて来てもらおうとは思っていない。フロントスタッフとしてJリーグのチームと折衝したり、協会と現場のつなぎ役になってほしい」
これまではJクラブや海外の日本人選手所属チームとの折衝は技術委員会の小野剛委員長が担当していた。岡田監督は「技術委員会はすべての世代を見るので常時(A代表は)見られない」とも話したが、基本的にはこの日に発表された27人で6月に4試合が行われるワールドカップ・アジア3次予選に臨む。つまり折衝役は当面必要ないわけで、この時期に急きょチームコーディネーターを就任させる必要性は正直、感じられない。
3月にアウエーで行われたバーレーンとのワールドカップ・アジア3次予選で苦杯をなめた直後に、岡田監督は「すぐ予選があったからやり方を大きく変えるのはリスクがあると考えてきた」とオシム路線を踏襲してきた約3か月間を振り返り、「これからは俺のやり方で思い切りやらせてもらう」と独自色を打ち出していくことを宣言した。日本協会関連の仕事に就いたことのない小山氏の異例とも言える抜擢は、岡田監督の言う「俺のやり方」の一環と見るのが自然だろう。
この日に発表された代表メンバーを見ても独自色がうかがえる。
オシムチルドレンと言われたMF羽生直剛(FC東京)、MF山岸智(川崎フロンターレ)、DF水本裕貴(ガンバ大阪)の元ジェフユナイテッド千葉勢が揃って姿を消し、DF陣には1m87の中澤佑二(横浜F・マリノス)と1m85の田中マルクス闘莉王(浦和レッズ)に加えて1m89の寺田周平、初選出となる1m82の井川祐輔(ともに川崎フロンターレ)と1m80台の長身選手が名前を連ねた。
横浜F・マリノスの監督時代は中澤や松田直樹を中心とした屈強な守備陣をベースに、カウンター中心の現実的なサッカーで連覇を達成した。「つまらないサッカー」とも揶揄されたが、勝つことで雑音を封じてきた。そうした実績に今回選出された選手の顔ぶれを加味すれば、岡田監督が目指す「俺のやり方」は横浜F・マリノス時代のサッカーの踏襲と見ていいだろう。
キリンカップと同時期に、北京五輪に出場するU23日本代表はトゥーロン国際大会に出場してチームの最終的な完成に着手する。その北京五輪世代からも長友佑都(FC東京)、安田理大、内田篤人のサイドバック陣と平成元年生まれの19歳、MF香川真司を選出した。
「今回はワールドカップ予選につながる大会なので、こちらを優先すると前から話していた」と岡田監督はU23代表の反町康治監督の了解を得ていることを明かしたが、ここまで独自色を打ち出した以上は当然、結果を求められる。結果とはもちろん、ワールドカップ・アジア3次予選における勝利にほかならない。
アジア3次予選のグループ2に属する日本は現在、1勝1敗の2位。4か国中で上位2か国が今秋開幕のアジア最終予選に進出するが、同じく1勝1敗で、得失点差で3位につけるオマーンとの直接対決が6月2日、7日と続くだけに決して楽観はできない。特に2日に日産スタジアムで行われるホームでの試合は勝利だけが義務づけられると言っても過言ではない。「俺のやり方」で退路を断った感のある岡田監督にとって、万が一、勝ち点を落とすようなことがあれば責任問題に発展することは免れない。
「どんな相手と戦っても変えない部分、チームのコンセプトを徹底させたい。俊輔は技術もあるし、キックもいいものを持っている。うまく(既存のメンバーと)組み合わせていきたい」
6月22日のバーレーン戦(埼玉スタジアム)まで続く約1か月を、岡田監督は独自色を選手に浸透させる期間とすることも付け加えた。満を持しての海外組の招集。MF鈴木啓太(浦和レッズ)やFW巻誠一郎(ジェフユナイテッド千葉)、前田遼一(ジュビロ磐田)、大久保嘉人(ヴィッセル神戸)ら体調不良やけがでJリーグの試合から遠ざかっていた選手も見切り発車的に選出した。そして、腹心・小山氏の登用。自らが望んだチーム体制が逆風の材料ともなりかねない中で、岡田ジャパンは20日から名古屋市内でコートジボワール戦へ向けた強化合宿に入る。 (文・藤江直人)
■日本代表メンバー(5月15日発表)
GK 川口能活(ジュビロ磐田)
楢崎正剛(名古屋グランパス)
川島永嗣(川崎フロンターレ)
DF 寺田周平(川崎フロンターレ)
中澤佑二(横浜F・マリノス)
田中マルクス闘莉王(浦和レッズ)
駒野友一(ジュビロ磐田)
阿部勇樹(浦和レッズ)
井川祐輔(川崎フロンターレ)
長友佑都(FC東京)
安田理大(ガンバ大阪)
内田篤人(鹿島アントラーズ)
MF 中村俊輔(セルティック)
遠藤保仁(ガンバ大阪)
中村憲剛(川崎フロンターレ)
松井大輔(ル・マン)
鈴木啓太(浦和レッズ)
山瀬功治(横浜F・マリノス)
今野泰幸(FC東京)
長谷部誠(ヴォルフスブルグ)
香川真司(セレッソ大阪)
FW 高原直泰(浦和レッズ)
玉田圭司(名古屋グランパス)
巻誠一郎(ジェフユナイテッド千葉)
前田遼一(ジュビロ磐田)
大久保嘉人(ヴィッセル神戸)
矢野貴章(アルビレックス新潟)
2008年5月19日 02:57|記事URL|コメント(0)|トラックバック(0)
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