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巨人ラジオレポーター×アンチ巨人

 他チームがうらやむ巨大戦力を擁しながら開幕から低迷を続ける巨人。その体たらくぶりに拍手喝采を送るアンチ巨人代表、論スポ副編集長の藤江直人と、ニッポン放送ショウアップナイターで巨人ベンチレポーターを務める今井美紀さんが緊急対談。今シーズン終了まで節目ごとに連載していきます。
 第1回目は3月28日のセ・リーグ開幕から5月20日の交流戦突入までを振り返ってみました。


藤江 開幕前の報道では「最初の40試合を30勝10敗だ」「史上最強戦力で連覇だ」と巨人の優勝を疑う声は皆無だったけど、実際にふたを開けてみれば、渡辺恒雄会長が「Aクラスに残ることを目標にしろ。こんなバカなことをしていたら優勝なんかできっこない」と怒りを大爆発させる低空飛行。アンチ巨人としては最高の展開です。笑いが止まりません。
今井 開幕40試合を終えた段階で、原辰徳監督が発した言葉が「いったい何をやってきたんだろう」だったんです。聞いている方はおいおい、って感じで(笑)。悪い流れを変えるような勝ちゲームはいくつもあったのに、その次の試合で必ずといっていいほど走塁やバントの失敗など基本的なミスを連発し、星を落としたことを悔やんでいましたね。
藤江 僕が覚えているのは、開幕5連敗で迎えた4月3日の中日戦。七回に高橋由、亀井、小笠原の3者連続ホームランで4点差をひっくり返し、6対5で初勝利を挙げた試合ですね。マスコミは「これから反撃だ」と大騒ぎしていたけど、僕は決してそうは思わなかった。巨大戦力を擁した巨人を車に例えると、大排気量なのにエンジンがノッキングを起こしてなかなか前に進まない状況。案の定、翌4日から阪神に連敗して、完全にスタートダッシュに失敗しました。
今井 ノッキングという表現は、かなりぴったりかも(笑)。
藤江 ホームランが出る確率なんてたかが知れているのに、長距離バッターばかりを獲得して打線に並べる。長嶋さんのときにもハウエルやらペタジーニやらを獲得して、その度に史上最強打線と賞賛されたけど、ことごとく絵に描いた餅で終わっているからね。ここまで歴史に学ばないチームも珍しい。場当たり的な補強の犠牲になる形で、チャンスを与えられることなく球界を去った才能ある若手選手は数限りなくいるでしょう。
今井 実は今シーズンの巨人は過去に例がないと言っても過言ではないほど、若手の眼前にチャンスが広がっているんです。ヤクルトとの開幕戦で二岡が故障したのを皮切りに、スンちゃん(李)、高橋由、上原、豊田、開幕投手の高橋尚と主力が次々に故障や不振で二軍に落ちましたからね。
藤江 確かに、そのおかげで坂本や亀井、新聞に載ってようやく「いんぜん」という読み方を覚えた隠善といった生え抜きが活躍しているよね。いつだったかな、脇谷を加えた生え抜きの4人をズラリとお立ち台に並べてヒーローインタビューをしたことがあった。「巨人はちゃんと育成もしています」とアピールしているようで、逆に嫌味だったけど。
今井 5月11日の中日戦ですね。隠善が初スタメンに抜擢されて3安打3打点と大活躍しましたけど、その勢いが続かない。移動日をはさんで13日に長野で行われた横浜戦では、その隠善が盗塁死、けん制死、送りバントを失敗した挙げ句に併殺打とミスを連発。最下位の横浜にサヨナラ負けを喫しています。
藤江 なるほど。記録を調べてみると、隠善はその後、あまり先発していないよね。チームも横浜、広島の下位チームを相手に2勝4敗と負け越し、通算でも借金3を抱えて交流戦に突入しました。
今井 それ!それなんですよ!ある若手選手が「ここは一度ミスをしたら消されてしまう、マフィアみたいなチームですから」とこぼしていたことがあるんです。野手は凡打やエラーを、投手は打たれることや四球を出すことを怖がる。チャンスはあるのに、肝心の若手の心がマイナスの連鎖に蝕まれているんですよ。
藤江 今までFAやトレードによる補強ばかりを繰り返してきたから、若手の心の準備ができていなかったんだろうね。それはそれで情けないけど。開幕前に滝鼻オーナーが「覇気を失う者、腐ってしまう者は巨人軍には必要ない」と巨大戦力批判に対抗するように怪気炎を上げていたけど、昨シーズンにリーグ優勝したときは清武球団代表が「もう補強は必要ない」というニュアンスのコメントを出していたのも事実。それがクライマックスシリーズで中日に負けると、ラミレス、グライシンガー、クルーンを一気に獲得ですから。


今井 実は、このオフにある生え抜きのベテラン選手が「ウチの若手はかわいそうだよ。泥まみれになって努力した成果を発揮できる場所がないからね」と毎年のように繰り返される大量補強に首をひねり、その上で「ウチに必要ないのは秋季キャンプとドラフト」と言い放ったことがあるんです。
藤江 誰だろう、その生え抜きって。マフィア発言の主も気になるけど。
今井 絶対に匿名です(笑)。とにかく、若手に蔓延するマイナス思考には原監督も「彼ら本来のプレーがまったくできていない。ポジティブに考えて、堂々とパフォーマンスすればいいだけのことなのに」と苛立ちを隠せません。
藤江 チーム編成が極端に偏っていることが原因なのに、気が付かないのかな。わかっていても、球団批判になるから口にするはずがないか。
今井 ジャイアンツ球場にファームの取材に行ったときに、あまりにも豪華なメンバーだから年俸総額を弾き出してみたら約21億円に達しました。ある首脳陣は隠善の年俸480万円とスンちゃんの一打席当たりのお金が同額だ、と頭を抱えていました。
藤江 巨人のファームは一軍の故障者や不振組の調整の場になるからね。若い選手たちはモチベーションを高く保てないと思うよ。巨人の選手というだけでチヤホヤされて、ファームのときから舞い上がっている輩も少なくないでしょう。そんな時代は終わりを告げようとしているのに、いつまで昭和の感覚でいるのかな。
今井 そのファームで気になるのは、やはり上原です。見た感じではやはりスタミナ面に一番の不安があるのに、足に不安があるから満足に走り込むことができない。ニッポン放送解説者の関根潤三さんは「足の不安さえなければ本当に素晴らしいピッチャー」とした上で「足の不安を口にすることは、先発することに不安があると言っているようなもの」と厳しい見方をしていました。
藤江 巨人のことはどうでもいいんだけど、去年のアジア予選の韓国戦を見ても明らかなように、上原は星野ジャパンに欠かせない守護神だからね。8月の五輪本番が心配ですよ。
今井 へたをすると、北京五輪どころじゃないかも。
藤江 その上原も、来シーズンは間違いなくFAでメジャーでしょう。エースの穴を埋めるべく、また他のチームから誰かを補強するんだろうね。巨額のマネーをつぎ込みながら勝てない巨人の迷走ぶりは、今シーズンもアンチ巨人にとって最高の酒の肴です。
今井 それにしても、藤江さん、巨人について詳しいですね。アンチ巨人は巨人ファンの裏返しとよく言われますけど、どうなんですか?
藤江 それは絶対にありません!学生のころはテレビ放送が巨人戦だけだったから不覚にも巨人ファンでしたけど、時代が平成に入って以降はその唯我独尊ぶりに辟易として、心も離れていきました。巨人のデータもこの対談用に調べたものなんです。ホント、それだけは勘弁してくださいよ(笑)。

2008年5月22日 02:29|記事URLコメント(0)トラックバック(0)

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