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美人プロ・飯島茜を変えた左目と5ヤード

[2008廣済堂レディスゴルフカップ第1日/5月30日@千葉廣済堂カントリー倶楽部=6337ヤード、パー72/賞金総額6000万円(優勝1080万円)]


 美人プロとして人気上昇中の飯島茜(24)=TOTO=が日本ツアー最少ストローク記録に並ぶ10アンダーの62をマークし、単独首位で発進した。ショット、パットとともに絶好調の飯島は10バーディー、ノーボギーと完璧なゴルフを展開。2位グループに5打差をつけた。現在賞金ランキング首位の福嶋晃子(34)=NEC=は2アンダーで9位タイ、2位の古閑美保(25)=キリンビバレッジ=はイーブンパー25位と出遅れた。


 最後はバーディーで締めくくると心に決めていた。18番ロング。迷わず手にしたスプーンから放たれた飯島の第2打が、ガードバンカーや立ち木といった障害物をあざ笑うかのように正確無比にグリーンへの花道を転がってゆく。アプローチをピンそば2mにつけ、下りのラインを読み切って10個目のバーディーをゲット。古閑と福嶋という人気プレーヤーが揃った組で最も眩いスポットライトを浴びながら、拍手と声援とを独占した。
 2位グループに5打差をつける圧巻の独走発進。コースレコード及び自己ベストとなる10アンダーの62は、03年の具玉姫(韓国)に並ぶ18ホールのツアー最少ストロークのタイ記録。合計19パットも99年の村口史子に並ぶツアー史上最少記録。さらに付け加えれば、前半アウトにおける8パットもツアー最少タイ記録。その前半アウトで3つのチップインバーディーを決め、一気に加速された勢いは最後まで衰えることがなかった。
「62ですよ。10アンダーですよ。あらためてスコアを見ると、すごいですね。信じられます? あり得ないでしょう。(18ホールで)19パットですって」
 チップインだけではない。14番ロングでは6m、16番ミドルでは8mのバーディーパットをカップのど真ん中から沈めた。3m以内のパットは安心して見ていられた。神懸り的なプレーの連続に、今シーズン開幕戦のダイキンオーキッドレディス初日に63をマークしている同組の古閑も目を丸くせざるを得なかった。
「チップインが多いということはグリーンを外しているということですよね。(ゴルフが)噛み合っていないのに(パットが)入ってしまう。奇跡的ですよ。ビックリしました」


 最近、自らの利き目は左目なのかな、と思うことが多いという。パッティングでボールをヒットする際にどうしてもヘッドアップする悪癖に悩んでいた昨年夏に、フォームを変えた。欧米ツアー共催のエビアン・マスターズに主催者推薦で出場。結果は予選落ちだったが、その翌日の決勝ラウンドを観戦して欧米の一流選手のパッティングフォームを凝視し、試行錯誤の末に独自の矯正策にたどり着いた。
「左目でボールを見るようにしたら、入るようになったんです」
 具体的に説明すると、パッティングのアドレスに入ったときにアゴを引き、首をやや右に回し、左目でボールをとらえ、頭の位置を固定させて打つ。見た目こそ美しくはないが、ヘッドアップを未然に防ぐことでパットが見違えるように冴え、昨シーズンは9月以降で2勝を挙げた。その中には、独走で制したメジャータイトルの日本女子プロ選手権も含まれている。
「(今年4月の)スタジオアリス女子オープンぐらいから、利き目は左なのかな、と思えるようになったんです」
 もちろん昨年の成績に満足することなく、オフの間も徹底してパッティングフォームを固定したことが、右利きでありながら利き目が逆という自己分析につながっている。


 4月下旬のフジサンケイレディスクラシックの前には、カリスマプロコーチの異名を取る井上透氏の門を叩いた。アイアンがどうしても右方向に出る癖を矯正するためだったが、スイングをトップの位置からシャープに振り下ろす形に、球筋をフェード系からドロー系に変えることで目的を達成する一方で、予期せぬ副産物も手にしていた。
「アイアンが飛ぶようになったんです。オフの筋トレと(井上氏の指導が)マッチングしたこともありますが、平均で10ヤードは飛距離が伸びたかな。タテの距離感が合っていなかったこともあって、今年は調子がいいのに今ひとつ成績がよくなくて」
 実際、スイング矯正の効果でヘッドスピードは1年前と比べて約3km増の43kmになったという。飛距離アップはもちろん大歓迎だが、正確無比なショットでコースや自然と対峙していくプロのレベルになれば、シーズン途中で飛距離が伸びればそれまで体に覚えこませてきた感覚に狂いが生じる。大会の合間を縫って懸命に修正を積み重ねてきた結果、ここにきてようやくアイアンの飛距離を昨シーズンよりプラス5ヤードでコントロールできるようになった。後半インではアイアンに加えてドライバーも安定し、パーオンを逃した13番ミドルと17番ショートではあわやチップインバーディーと小技も冴え渡った。ショットとパットの高次元の融合。快進撃も納得できる。
 今大会は賞金ランキングのトップ10のうち、横峯さくら(22)=エプソン販売=ら7人が欠場している。昨シーズン後半の活躍で美人プロとして広く認知され、人気上昇中の飯島にとってはツアー4勝目へ絶好のチャンスが到来したことになるが、本人はまだまだ貪欲だ。
「今日もまだ(スコアを)伸ばせた、と思う部分もある。集中すれば、できないものもできる。初日にこれだけのスコアを出した以上は優勝したいけど、リードを守るのではなく(2日目以降も)もっとスコアを伸ばすようにしたい」
 記者会見を終えた飯島はキャディーを務める妹の遥さんとともに、大切な何かを思い出したように、冷たい雨が降り始めていたコースへ駆け出していった。
「パッティング練習するのを忘れていたんで」                (文=藤江直人)

2008年5月30日 23:30|記事URLコメント(0)トラックバック(0)

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