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妹の檄に導かれた飯島茜の今季初優勝

[2008廣済堂レディスゴルフカップ最終日/6月1日@千葉廣済堂カントリー倶楽部=6337ヤード、パー72/賞金総額6000万円(優勝1080万円)]


 飯島茜(24)=TOTO=が5バーディー、1ボギーの68で回り、通算13アンダーの203で今シーズン初勝利を挙げて賞金1080万円を獲得した。猛追してきた中島真弓(32)=フリー=に13番ホールで一度は並ばれたが、今大会でキャディーを務める妹の遥さん(22)の檄に発奮。16番で8mのバーディーパットを沈め、3mのパーパットを外した中島を突き放してそのまま逃げ切った。飯島の優勝は昨年9月の日本女子プロ選手権以来、通算4勝目。現在賞金ランク1位の福嶋晃子(34)=NEC=は1アンダーの9位タイ、同2位の古閑美保(25)=キリンビバレッジ=は2アンダーで8位に終わった。


 弱気になりかけた姉を、妹のひと言が奮い立たせた。
「お姉ちゃん、絶対に勝とうよ! ここで勝てなかったら、こんなチャンスはもう巡ってこないよ!」
 13番ホールを終えた直後だった。11番から怒涛の3連続バーディーを奪い、3打差を一気に縮めた中島の気迫に圧倒されかかっていた飯島の目を、キャディーの遥さんが目覚めさせた。
遥さん お姉ちゃんがちょっと落ちてきていたので。並ばれて、これは危ないと思って。
飯島 相手の流れに飲み込まれかけていました。妹の方が勝ちたい気持ちが強かったみたいですね。昨日から『負けたくない』と繰り返していましたから。
 妹から浴びせられた檄の効果はてき面だった。15番ホールでは中島に5mのバーディーパットを先に決められたが、飯島も動揺することなく1mのバーディーパットを沈める。ともに12アンダーで迎えた16番ホール。第1打を左に曲げ、何とか3mに3オンした中島に対し、飯島は8mに2オン。グリーン上の姉妹はまさに以心伝心で勝利へのラインを読み切った。
飯島 カップの左側狙い。妹と意見がぴったりと合いました。迷うことなく手も動いてくれました。
 やや下りの難しいスライスラインだったが、ボールは吸い込まれるようにカップへ。そのシーンからあえて目をそらしていた中島だったが、さすがにプレッシャーがかかったのだろう。パーパットが無情にもカップに蹴られた瞬間、ともに妹をキャディーに起用した2人の息詰まる一騎打ちは事実上の終幕を迎えた。


 エースキャディーが男子のトーナメントに参戦した関係で、飯島は今大会のキャディーの手配に苦心していた。そこで手を挙げたのが遥さんだった。
飯島 パッティングのラインを読むことにかけては本当に上手い。妹と一緒だとプレーしやすいんですよ。
 遥さんに全幅の信頼を寄せている飯島だが、その一方で簡単にはキャディーに指名できない理由があった。姉と同じ堀越高校ゴルフ部出身の遥さんだが、最近はゴルフを封印し、姉のマネジャーという裏方業に専念せざるを得ないほど重度の腰痛を抱えていた。それでも、未勝利が続く姉の苦境を救いたい一心からキャディーバッグを担ぐ決意を固めた。手引きカートを使用することで腰への負担を軽くする方法もあったが、嫌なジンクスがそれを拒否させた。
遥さん カートを引いたときは決まって姉ちゃんの成績がよくないので。今回は最後まで絶対に担いでやる、と心に決めていました。
 1m57、50kgの飯島よりもひと回り小さい遥さんが、腰をかばいながらキャディーバッグを担ぐ姿に、ギャラリーからは「大丈夫なのか」と驚きの声が上がることも少なくなかった。しかも、2日目は土砂降りの雨。腰痛は限界に達し、最終日はテーピングでぐるぐる巻きになっていた。
 それでも、そのプレースタイルをいつも目の前で見てきた姉の微妙な変化を見逃さなかった。
遥さん 初日はパットの調子がすごくよかったのに、最終日は目の位置がボールに近づいていて。(ボールとの)距離をちゃんととろう、と途中で言ったらまた入るようになりました。


 ツアー初優勝に執念を燃やす32歳の苦労人、中島から無意識のうちに受けていた追われる者のプレッシャー。初日に日本ツアー最少ストロークのタイ記録となる62をマークし、「こうなったら絶対に優勝しなければ」と気負いすぎていた部分もあった。典型的な自滅へのスパイラルを遥さんの強烈な檄と鋭い観察眼が吹き飛ばし、16番の第1打では逆に中島にプレシャーをかけた。
 これまでに20回を超える姉妹タッグを組んできたが、これが2人で飾る初めての優勝。キャディーには優勝賞金の10%が支払われるが、飯島は感謝の思いを込めてさらに30万円の特別ボーナスも手渡す予定だ。
飯島 中島さんがいいプレーをしていたので本当に疲れました。この優勝を弾みに年間3勝の目標を達成したい。
遥さん 優勝を決めるパットが入った瞬間は、嬉しいというよりもホッとしちゃって。3日間、ずっと気持ちが張り詰めていましたから。お姉ちゃん、今夜は飲むと思いますよ。梅酒が好きなんですけど、テキーラをショットで何杯も飲んでも平気なぐらい強いんですよ。私ですか? 腰痛によく効く温泉にでも行きたいですね。 
 幼い頃からけんかひとつしたことがないという美人姉妹は、6月22日から茨城・美浦GCで開催されるニチレイPGMレディスで再びコンビを組む予定になっている。          (文・藤江直人)

2008年6月 2日 00:52|記事URLコメント(0)トラックバック(0)

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