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北京五輪オーバーエイジは大久保、山瀬+闘莉王で!

[国際親善試合/U‐23日本代表 0対0 U‐23カメルーン代表@国立競技場]


 ゴールへの予感が何度ため息に変わったことか。北京五輪本番で対戦するナイジェリアと見立てられたU‐23カメルーン代表を10本も上回る14本のシュートを放ちながら、あまりにも遠いゴール。90分間をスコアレスドローで終えたU‐23日本代表の反町康治監督は、試合後の記者会見の冒頭で決定力不足というお決まりのフレーズを甘んじて受け入れた。
反町監督 「いいゲームだったと思うが、いいゲームで済まないのがサッカーの世界。これが本大会で『いいゲームだった』と言われても、勝ち点3を取れなかったことを真摯に受け止めないといけない。ちょっとした上積みが必要かな、と感じました」
 国立競技場の会見ルームが「ちょっとした上積み」という指揮官の言葉に敏感に反応する。U‐23カメルーン代表戦に臨むメンバー21人が発表された4日、反町監督は「基本的にこのメンバーが中心で北京に行く」と明言している。今後は岡田武史監督が率いるA代表に飛び級で招集されているDF内田篤人、長友佑都、MF香川真司、安田理大が北京五輪代表候補に加わってくるが、ポジション的にも決定力不足を喫緊に払拭できる人材とは言い難い。
 ならば、「上積み」とは3人までが招集可能な年齢無制限のオーバーエイジに他ならない。当然のように、質疑応答では「上積み」の真意を探る質問が飛ぶ。「やっぱり」という言葉の後にしばしの沈黙をはさみ、反町監督は意を決したように北京五輪へのプランを明らかにした。
反町監督 「ゴールを奪うところの部分でしょうね。例えばペナルティーエリアの近くでボールをもったときに仕掛けて、点を決められる選手。そうした力を持つことは、どうしても必要だと感じました」


 オーバーエイジという単語こそ封印したが、反町監督が初めて具体的なポジションに言及して補強ポイントを挙げた。U‐23カメルーン代表戦ではセリエA・カターニア所属の森本貴幸をワントップに、その後方には所属する川崎フロンターレではボランチを務める谷口博之を配置した。1m82、73kgと体に恵まれ、高校まではFWだった谷口の得点感覚に期待をかけたが、無得点に終わったことで今後はオーバーエイジの人選に注目が集まるのは必至だ。
 オーバーエイジとして招集する以上は、北京五輪でベンチを温めても意味がない。必然的にA代表に名前を連ねる選手がその対象になる。ワールドカップ・アジア3次予選で苦戦を強いられているA代表を配慮し、反町監督は具体的な選手の名前を口にしない。しかし、理想として掲げた、アタッキングサード(ピッチを縦に3分割したときの攻撃エリア)でゴールに絡める仕事ができる選手はおのずと限られてくる。
 岡田ジャパンでシャドーストライカーの役割を与えられているFW大久保嘉人と、ゲームメークよりも果敢にゴールを狙ってくるMF山瀬功治。スポーツタイムズが推すオーバーエイジはこの2人だ。ルマンからサンテティエンヌへ移籍したMF松井大輔も加えたいところだが、同じタイプを3人も招集するのは逆に意味がないし、五輪のサッカーに対して極端に理解度が低い欧州のクラブが簡単に招集に応じるとも限らない。
 ならば、3人目のオーバーエイジを招集するとしたら、誰が適任なのか。ヒントは試合後のミックスゾーンで苦虫を噛み潰したMF本田圭佑の言葉に凝縮されている。
本田圭 「ボール際の争いで勝てた日本の選手はほとんどなかった。気持ちで負けていた。サッカーは気持ちが左右すると思う。ビビらずにやることが大事。(北京五輪で対戦する)ナイジェリアはもっと速く、強いかもしれない」
 鋼の精神力と屈強なフィジカル。真っ先に思い浮かぶのは浦和レッズのDF田中マルクス闘莉王だ。U‐23カメルーン代表を零封した守備陣に関しては反町監督も及第点以上を与えたが、闘莉王の加入は最終ラインをより磐石するだけではなく、浦和と同じようにボランチに配置転換することによって中盤の攻守における懸念を確実に軽減させる存在になるだろう。


 もっとも、オーバーエイジについてはこんな声も飛び出している。
本田圭 「俺が口にすることじゃないけど、オーバーエイジが入ってよくなる部分と悪くなる部分がある。それがサッカーだと思うし、あとは反町さんが決めることです」
 日本がベスト8に進出した00年のシドニー五輪で監督を務めたフィリップ・トルシエ氏にインタビューをしたことがある。シドニーではGK楢崎正剛、DF森岡隆三、MF三浦淳宏をオーバーエイジで招集したが、トルシエ氏は「結果として間違った判断だった」と明言。その理由として(1)大会直前に招集したことでコンビネーションを合わせる時間がなかった(2)チームワーク的に難しい部分があった――と述懐している。
 本田圭の言う「悪くなる部分」も同じことを意味しているのだろう。北京五輪を目指し、当時のU‐21日本代表が旗揚げされたのが06年夏。以来、85年1月1日以降に生まれた「北京世代」はよくも悪くも同じ時間を共有し、谷間の世代と揶揄される中でひとつの歴史を築いたことで一体感が芽生えている。18人のメンバー決定前ではU‐23カメルーン代表戦が最後の実戦だったが、A代表の日程との関係でオーバーエイジを招集することはできなかった。U‐23日本代表が五輪前に予定している実戦は、あとは7月24日と29日の五輪壮行試合しかない。トルシエ氏が今でも悔いる「過ち」が再び繰り返される可能性は、決してゼロではない。
反町監督 「オーバーエイジに関するコメントはあまりしたくない。この(23歳以下の)年代でも手応えを感じていますが、カメルーンもオーバーエイジを3人加えるということで、当然、今日よりレベルが上がる。私たちも考えなければいけない時期にきている。しっかりと整理していきたい」
 指揮官のコメントからも苦渋が見え隠れする。しかし、現有戦力では決定力不足を解消するにはどうしても超えられない壁があり、さらにはオーバーエイジで補強する具体的なポジションと選手が見えてきたのも事実。アメリカ、ナイジェリア、オランダの強豪国と同居する「死の組」を突破することを何よりも優先させながら、反町監督は6月中にはオーバーエイジを含めたチーム編成の方向性に決断を下す。 (文=藤江直人)

2008年6月13日 02:21|記事URLコメント(0)トラックバック(0)

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