Home > 本日の論! > バスケ日本女子に残された道 特別現地レポート 三上太
バスケ日本女子に残された道 特別現地レポート 三上太
【FIBA女子オリンピック世界最終予選/2008年6月13日@スペイン・マドリッド】
北京オリンピック出場を目指す、女子バスケットの世界最終予選。前日の休息日を挟んで行われた決勝トーナメントの初日は、勝てば即オリンピック出場が決まるゲームだった。その第1試合で地元スペインがキューバを破り、オリンピック出場を決めた。しかし、スペイン人とはあっさりしたもので、自国の試合が終わるをさっさと引き上げていく。
日本のチアースティック(応援用の細長い風船)を叩く音と、チェコのチアーホーンの音だけが響く中ででの日本×チェコの一戦は64?76でチェコが勝利。北京オリンピックの出場権を獲得した。日本代表は、同じくこの日に敗れたチーム同士で行われる5位決定戦に進み、最後の1枠を目指すことになった。
勝てる要素がないわけではなかった。第1Qは得点を取るべき選手――大神雄子(フェニックス・マーキュリー)、矢野良子(富士通)、そしてインサイドの小磯典子(アイシンAW)がコンスタンとに得点を重ねた。加えて、その得点感覚を買われて代表入りし、スタメンにも起用されている田中利佳(JOMO)も、予選リーグの不出来を払拭するような動きでチェコゴールに迫っていた。当然ベンチも、80人くらいからなる応援団も、そしてプレス席の日本人記者からも歓声が沸き起こる。いけるんじゃないか――そういう空気が流れていたことは確かである。
しかし第2Qが始まると、相手の高さを意識しすぎたのか、日本のシュートミスがリングに嫌われ続ける。世界と互角に戦おうと思えば、シュートの確率を常に相手よりも上回わっていかなければならない。それがことごとく外れてしまうのだ。その重要さを一番実感している選手は、自分が何とかしよう、自分がシュートを決めて流れを引き戻そうとするから、それが力みにつながり負の連鎖を呼び込んでしまう。
「確かに勝てる要素はあったと思います。ただみんなフラストレーションが溜まっているんじゃないかな。というのはチーム全員がああしたい、こうしたいっていう気持ちが強すぎて、正直まとまってないのが現状だと思います。40分間のゲームで自分たちのバスケットが10分はあったかもしれないけど、残りの30分はどうだったの? それが内海(知秀ヘッドコーチ)さんのバスケットなの? って問いかける部分は絶対にあったと思います」
大神は今日のゲームをそう振り返る。選手たちはもちろん勝利を目指してプレイしている。だがその根幹であるべき、自分たちのバスケットが揺らいでいるというのだ。揺らいでいるというより、幹そのものができあがらないまま、この大会に入ったようにも見える。
「幹が枝分かれしているような気がするんですよね。意思統一がされていないというか...」
昨年の北京オリンピック・アジア予選ではその幹がしっかりとしていた。内海ヘッドコーチの求めるバスケットを全員が表現しようとしていたのである。しかし、当たり前のことだが、バスケットには相手がいる。その相手の策に対しての対応力が、昨年の日本代表にはなかった。その結果が予選リーグで勝利した若手中心の中国に決勝トーナメントでは敗れて、北京行きの切符を逃すことになるのだ。だからこそ対応力のあるベテランを呼び戻したのだが...。
「昨年のチームと、今年のチームっていうのはまったく対称的で、どっちがいいかはわからないけど、この大会はこのメンバーで行くって内海さんが決めたんだったら、内海さんのバスケットを、内海さん自身もそうだし、自分も、みんなもやらなきゃいけないと思うんです。でも自分もやりきれてなくて、試行錯誤しています」
96年のアトランタ、04年のアテネと2度のオリンピックに出場した小磯はチームのそのような状況を、自身の経験を踏まえてこう評している。
「今の若手はゲームに入ってから組み立てることができない。自分で考えて、自分たちで相手の弱点を見つけて、そこをうまく突くことができないんです。私たちがこうしようって言ったら、そればかりにこだわってしまう。でもそれは自分の気持ちじゃないから、うまくできない。だからといって彼女たちが気づくのを待っていても、やっぱり気づかない」
世界で戦おうとするにはあまりにも未成熟すぎる。だがこれが今の日本代表の現状かもしれない。もちろん選手だけにその責任を押し付けるものではない。ベンチワークも対戦国と比べると見劣りしてしまう点が多々ある。
「やっと今日は少しできたかなと思うけど、それは結果なだけであって、自分のパフォーマンスっていうのは勝ってナンボですから、全然評価されないと思いますし、自分でも評価していません」
この日チーム最多の17得点を挙げた大神の自己評価である。
結果は別として、日本はこの大会、日替わりでチームを引っ張る選手が現れている。しかし日替わりのヒーローでは勝てない。
「ガード、フォワード、センター...全員がやってこその日本代表だと思います」
大神のこの言葉と、試合中ベンチから叫ばれていた「みんなで、みんなで!」という声。24時間以内に、スタッフを含めた日本代表全員がそのイマジネーションを共有することしか日本に残された道は、ない。 (文責・三上太)
2008年6月14日 22:54|記事URL|コメント(0)|トラックバック(0)
トラックバック(0)
この記事のトラックバックURL: http://sv62.wadax.ne.jp/~sports-times-jp/mt/mt-tb.cgi/220
コメント(0)
コメントを書く
- 井上康生 「最後の内また」
(2008/06/08 21:36) - 北京五輪100kg超級代表、石井彗の練習風景
(2008/05/24 22:25) - ばんえい競馬@帯広ばんえい競馬場
(2008/05/07 12:15)
カテゴリー
アーカイブ
編集部より