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石井が金メダルで証明した新時代のJUDOスタイル!
五輪直前に論スポの独占インタビューで石井と話をする機会に恵まれたとき、こんな会話を交わしていた。
「一回戦で負けるか、金メダルか。たぶん、石井君は、そんな展開になると
思うんだよね」
「そう思われますか...」
「ビッグマウスだけど、意外に精神は弱い。だから、一回戦を突破できるかどうか。
そこを突破できれば、五輪用の負けない柔道だから負けることはない」
「わかりますか? 人間って弱いですからね。だから、大口を叩いて自分を追い込んでいく。
僕も、その意味で一回戦は大事だと思っています。自分の柔道が、最後までできるかどうか。詰め将棋のような考え抜いた柔道です」
石井は、リスクを避けているのだが、審判には、攻撃をしていると認めさせる知能的柔道で試合を組み立て、一瞬の隙をつきながら、1本勝ちを続けた。攻める過程で序盤には絶えず布石を打っておく。内股の前には、大外。逆への意識を相手に持たせるのだ。
決勝戦。吊り手でアブドゥロ・タングリエフ(ウズベキスタン)との距離を保つ。技を受ける可能性の少ない距離である。引き手を使うときには、必ず動く。石井が尊敬するヘビー級ボクサー、モハメッド・アリのようなフットワーク。動きながら引き手を持ち、技を仕掛けていくので、返し技を受けるリスクは減り、審判には積極的に見える。指導がウズベキスタン選手に2つ飛んだ。
「芸術的な反則をとっていく」と彼は、論スポのインタビューで語っていたが、まさに計算しつくされた指導である。
「決勝こそ僕の柔道。冒険をせずに勝ちにいった」
勝利者インタビューで彼はそう言った。
石井は、新時代のJUDOを初めてのオリンピックの舞台で実践し結果につなげた。つまり1本を強引に狙わず、常にリスクを避けながら計算づくでポイントを重ね、勝利を手にするという柔道である。もちろん、隙あらば一本を狙う。寝技には好不調はなく、世界レベルでは、実は、寝技技術に力を入れている国は欧州を含めて少ないという現実。アドバンテージは何かをとことんつきつめた新スタイルは、準々決勝、準決勝の勝利に見事に結びついた。
「柔道!最高!」
金メダルの瞬間、尊敬する格闘家、秋山成勲が好む言葉を口にして、道場にまで通う格闘家、小川直也の代名詞でもあるハッスルポーズまで連発して、正木コーチにたしなめられていた。
金メダルを土産に総合格闘家への転向。
これが石井が胸の奥にしまっている人生設計である。
「人生がかかっている。生活がかかっている。だから負けられないのです」
もちろん、華麗なる転身は、ロンドン五輪での連覇。2つの金メダルを取ってからである。柔道界から批判の大きかった「1本を狙わず勝つ柔道」が、金メダル一個だけだった男子柔道の救世主になったのだから、胸を張って、あと4年突き進めばいい。
言葉の豊富さや、そのキャラクターも魅力十分。新しい柔道スターの誕生である。
(文責・本郷陽一)
2008年8月16日 00:25|記事URL|コメ
2008年8月16日 07:33|記事URL|コメント(0)|トラックバック(0)
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