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イチローJAPANに泣けた。 WBC日本連覇!   本郷陽一

「イチロージャパンで泣けるか」

筆者は、論スポの最新号にこうタイトルを打った。

監督選考に影響力を与えた発言など、WBC前のイチローの言動、行動に対して、いくぶんかの皮肉を込めてのタイトルだった。予想アンケートを実施した米国ジャーナリストの集計で日本の連覇確率は22%。筆者の予想もそれに近いものであった。

 侍ジャパンをあえてイチロージャパンと評し「泣けるか?」と問題提起をしたつもりだったが、本番がスタートしてからのイチローの不振は、その持ちえる才能の限界を疑われる領域にまで突入していた。リーダーであるべき立場の人間で、それを自覚していた男が結果を示せない。「心が折れかけていた」とイチローは語っていたが、現役のプロである以上、過去の実績はモノは言わない。プライド高きイチローの苦悩たるや、想像を絶するものではなかったか。しかも、シンパの記者だけに囲まれるシーズン中とは違い記者への応対もアドリブでこなさねばならない。そのインタビューにも感情を見透かされまいとするイチローの心の揺れが、手に取るようにわかる気がした。

 だが、最後の最後。延長10回二死二、三塁でイチローは勝負を決めた。ヤクルトの守護神は、左打者にとって空振りするボールのない絶好の投手だったとはいえ、彼が「神が降りた」と表現するのも大袈裟ではないほどの集中力だった。

 一塁が空いていて韓国ベンチは、敬遠を指示したという。だが、今大会のイチローを見る限り、日本打線で最も打ち損じの確率が高かったのだから、韓国バッテリーに「中島よりイチローで勝負」という色気が出ていたのも当然かもしれなかった。しかし、大会を通じてのイチローのストレスをすべて無に返した一撃。不謹慎ながらギャンブルに例えれば最終レースでの一発逆転である。筆者は「イチロージャパンで泣けました」と、潔く懺悔するしかない。

 ただ、第二回の大会には、いくつか問題点も残った。

日韓対決が、通算5度も行われる運営方法への是非。せめて第1ラウンドの1、2位は、次のラウンドで振り分けるべきである。それと決勝戦をのぞけば、ほぼ寂しかったスタンドの空席が、なぜ起こったのかという検証の必要性だ。故障者が続出したアメリカチームと、ガラガラの観客席を見る限り、開催国の情熱の不足と我々日本国民との温度差を感じざるをえない。アメリカが、選手だけでなくアメリカ国民も含めてWBCの覇権奪回に本気になるシステムや環境を作らない限り、WBCを世界一決定戦と定義付けするにも無理があり、今後の大会に発展性は見られないだろう。そもそも、MLBとMLB選手会が提案した極々プライベートな大会であるのだから、その提案者の情熱の薄さにあきれかえるばかりであり、日本の優勝で「ざまあみろ!」という気分である。

 最後に、これは、ジャーナリズムでも何でもない、かなり個人的感情ではあるが、本来胴上げ投手となるべきだった藤川球児の気持ちを考えると胸が痛い。足を痛めた影響でコンディションを取り戻せず、首脳陣の藤川への信頼度が下がったは推測できる。だが、結果は出していた。しかも、緊張の場面では経験が生きる。決勝での9回も藤川なら、あの1点を守りきったと思う。準決勝、決勝とダルビッシュをマウンドへ気持ちよく送りだした藤川は、その口に出せない鬱憤を阪神タイガースで晴らして欲しい。(文・本郷陽一)

2009年3月24日 21:56|記事URLコメント(0)トラックバック(0)

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