Home > 本日の論! > 北海道日本ハムファイターズと湘南ベルマーレの意外な急接近 by 藤江直人
北海道日本ハムファイターズと湘南ベルマーレの意外な急接近 by 藤江直人
プロ野球の日本シリーズを戦っているパ・リーグの北海道日本ハムファイターズとサッカーのJ2湘南ベルマーレが、スポーツのジャンルを超えた異例の「トップ会談」を行ったことが明らかになった。湘南ベルマーレが10年の歳月をかけて推し進めてきた「地域に根ざした総合スポーツクラブ」に北海道日本ハムファイターズが強い関心を示して実現したもので、04年から札幌ドームを本拠地としている日本ハム側は、札幌市を拠点としてプロ野球チームを核とした新たなスポーツムーブメントを起こす青写真を描いているという。
北海道日本ハムファイターズの大社啓二オーナーと湘南ベルマーレの眞壁潔社長が都内で緊急会談の席を設けたのは10月30日。ベルマーレの大倉智強化部長が04年までセレッソ大阪のチーム統括ディレクターを務め、そのセレッソ大阪を運営する大阪サッカークラブの取締役に大社オーナーが就いている縁もあり、日本ハム側の要望を受けて急きょ実現した。
前日の29日に行われたプロ野球のドラフト会議を振り返り、「菊池雄星君の1位抽選は惜しかったですね」「あれは仕方がないでしょう」という挨拶で始まったトップ会談は白熱すること約2時間。「あたながたの活動がぜひ知りたい」という大社オーナーの熱い問いかけに、眞壁社長は業績が悪化したフジタ工業が99年限りで撤退したことに伴い、「ベルマーレ平塚」から特定の親会社をもたない市民チームの「湘南ベルマーレ」として再出発した00年以降の歩みを包み隠さず伝えた。
サッカークラブだけでなく、平塚市から平塚市を含む湘南地域の7市3町へのホームタウンの拡大、ビーチバレー、トライアスロン、NPO法人湘南ベルマーレスポーツクラブの設立、女子ソフトボール、フットサルFリーグへの参戦、産業能率大学との提携、小学校への体育巡回授業といった活動を説明された大社オーナーは、「すごい」「素晴らしい」と学校と企業が中心だった日本のスポーツ界に一石を投じる履歴に共感するとともに、次のようにアドバイスしたという。
大社オーナー「あなた(眞壁社長)は真面目ですね。ただ、真面目な方はだいたいにおいて失敗してしまう。オレが、オレがの方がいい。いままでやってきたことをもっと発信した方がいい」
実際に発信力が不足していることを痛感していた眞壁社長は、その上でこう返している。
眞壁社長「資金力が限られていたウチだからこそできた部分もある。同じことを日本ハムが札幌でやると『日本ハムは何をやっているんだ』と思われてしまう恐れがなきにしもならずではないのでしょうか。(お金の)出口は慎重に考えた方がいいと思います」
これには、大社オーナーも「確かにそうですね」と大きくうなづいたという。
異例のコラボは、1日に神奈川・平塚市内のホテルで開催されたシンポジウム「湘南ベルマーレ 絶対J1!宣言」の席で、集まった約300人のサポーターを前に眞壁社長が明らかにした。
サッカークラブが核となり、老若男女のそれぞれが好きなスポーツを好きな時に笑顔で楽しめる地域をつくっていくことは、Jリーグ創設時にうたわれた最大理念「豊かなスポーツ文化の振興と国民の心身の健全な発達への寄与」を具現化することもである。
シンポジウムではJリーグの初代チェアマンでもある日本サッカー協会の川淵三郎名誉会長が基調講演を行い、眞壁社長、00年から05年まで湘南ベルマーレの会長を務めた自民党の河野太郎衆議院議員とともにパネルディスカッションにも参加。93年のJリーグ元年に参戦した10チームの最後の1枠をベルマーレ平塚(当時)と鹿島アントラーズが争い、前者でほぼ決まりかけたところへ、アントラーズ側が日本初の屋根付きサッカー専用スタジアムを建設する構想をぶち上げたことで大逆転となったエピソードを明かしながら、湘南ベルマーレに熱いエールを送った。
「Jリーグの理念を、Jクラブの中で最も率先して実践しているクラブ。その姿勢には心から感謝を申し上げたい」
05年7月には浦和レッズがヨーロッパの総合スポーツクラブをほうふつとさせる「レッズランド」をさいたま市桜区にオープンさせた。構想の初期の段階ながら、湘南ベルマーレが生じさせた波はいままさに競技の垣根を越えてプロ野球界へと波及しようとしている。
もっとも、図らずともけん引役を果たしてきた湘南ベルマーレには感慨にふけっている時間はない。浦和レッズや北海道日本ハムファイターズと違い、資金や経営規模で大きく劣り、経営の形態そのものも大きく異なるベルマーレが存続していくには、苦境を承知の上で、それを乗り越えて前へ、前へと進むしかなかった。
眞壁社長はシンポジウムでこの10年を振り返るとともに、次の10年へ向けて、地域の核となるべきサッカーチームの使命をこう位置付けている。
眞壁社長「時間がかかるのであれば、先にやってしまおうということで(総合スポーツクラブを)推し進めてきた。この10年間の感謝の気持ちをしっかり返すには、J1への昇格以外にない。ここでJ1に上がることがどれだけ大切か。この10年間の苦労が我々のベース。だからこそ、恥をかくことは何ら怖くない。前へ進んでいきたい」
J2戦線に目を向ければ残り4試合。3位までがJ1に自動的に昇格できる中で、敵地で行われた前節でロアッソ熊本に痛恨の黒星を喫した湘南ベルマーレは現在4位。1位のセレッソ大阪、2位のベガルタ仙台の昇格がほぼ決定的な状況下で、残る1枠はベルマーレを勝ち点1差で上回って3位につけるヴァンフォーレ甲府との一騎打ちとなってきた。
その甲府との直接対決が21日に敵地・小瀬で待っている。99年を最後に遠ざかっているJ1への昇格をかけた戦いもいよいよ大詰め。「地域に支えられて10年 これからの10年」とサブタイトルが銘打たれたシンポジウムは、最後は眞壁社長以下チームのフロント関係者全員、川淵名誉会長、河野衆院議員にサポーターやメディア関係者も総立ちになっての「湘南ベルマーレ、オー、オー、オー」の大合唱で幕を閉じた。
2009年11月 2日 03:55|記事URL|コメント(0)|トラックバック(0)
トラックバック(0)
この記事のトラックバックURL: http://sv62.wadax.ne.jp/~sports-times-jp/mt/mt-tb.cgi/347
コメント(0)
コメントを書く
- 井上康生 「最後の内また」
(2008/06/08 21:36) - 北京五輪100kg超級代表、石井彗の練習風景
(2008/05/24 22:25) - ばんえい競馬@帯広ばんえい競馬場
(2008/05/07 12:15)
カテゴリー
アーカイブ
編集部より