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ナビスコカップ決勝展望/川崎フロンターレを成長させたトラウマ by 藤江直人
サッカーのJリーグナビスコカップ決勝は、きょう3日午後2時5分に東京・国立競技場でキックオフを迎える。5年ぶり2度目の頂点に王手をかけたFC東京に対するのは、前身の富士通時代を通じて初めてとなるタイトル獲得に一丸で燃える川崎フロンターレ。直近のJ1でも4連勝をマークしている絶好調のチーム同士の激突にはファンの関心も高く、約4万8000枚が売り出された前売りチケットはすでに完売している。2日には都内のホテルで前夜祭が華やかに開催され、勢ぞろいしいた両チームがともに必勝を宣言した。
多摩川をはさんでホームタウンを構えるライバルチーム同士の対戦は、07年からは「多摩川クラシコ」と銘打たれて激しい火花を散らしてきた。対戦成績は今シーズンのJ1でともに逆転で連勝を飾っているフロンターレが6勝5分け5敗とリードしているが、頂上対戦を前にしてフロンターレは図らずも過去のトラウマを思い出す快勝劇に遭遇していた。
10月25日に行われたサンフレッチェ広島との第30節。前半に退場者を出した相手を後半になると一方的に攻めまくり、面白いようにゴールを重ねる。迎えたロスタイム。エースのジュニーニョがチーム歴代最多タイとなる7点目を決めた瞬間、MF中村憲剛やFW鄭大世の脳裏に2年前の「10月28日」が蘇ったという。
00年に続く2度目のナビスコカップ決勝進出を決めていたフロンターレは、決勝前の最後のJ1で敵地・味の素スタジアムに乗り込んでFC東京を7‐0と粉砕。自信を膨らませ、勢いを加速させて11月3日の国立競技場のピッチに立ったが、ガンバ大阪の老かいなサッカーの前に自慢の攻撃力が封じられてしまう。スコアは0‐1。悲願の初タイトル獲得は夢と消えた。
ナビスコカップ決勝進出を決め、決戦前の最後のJ1でチーム記録の7得点と大爆発して完封勝ち。状況は不思議なほどに2年前と酷似している。しかし、J1で首位に立ってナビスコカップ決勝に臨むことともうひとつ、決定的に異なる点がある。日本代表の中村はトラウマを乗り越えてたどり着いた舞台であることを強調した。
「リーグ戦とカップ戦は別の流れがあると見なきゃいけない。浮かれちゃいけないんです」
05年からJ1に定着したフロンターレは、中村の言葉を借りれば「いままさに鹿島アントラーズのような勝者の歴史と経験を積み上げている真っ只中」にいるという。タイトルを争った経験が絶対的に不足していた2年前は直前の大勝で浮かれ、そこに油断が生じ、J1優勝を経験しているガンバ大阪につけ込まれるスキを見せてしまった。
悔しい思いとともに支払った授業料をいまこそ生かす。関塚隆監督以下、チームの全員が勝って兜の緒をしめて臨む決勝戦は、この2年間のフロンターレの軌跡が問われる舞台でもある。2年前の大勝劇でハットトリックを達成している鄭大世が、選手全員の思いをこう代弁する。
「2年前のオレたちとは違いますから」
対するFC東京は2トップの一角をしめていたカボレが夏場になってオイルマネーで中東のクラブに引き抜かれ、MFながら得点王争いに加わっていた日本代表の石川直宏も左ひざに全治6週間の負傷を負って戦列を離脱。同じく日本代表のDF長友佑都は右肩脱臼を抱えて強行出場する。パワーダウンは否めない。
前夜祭に訪れていた「Jリーグ選手OB会」の初代会長で、元日本代表キャプテンの柱谷哲二氏も「正直、ナオ(石川)がいないのは厳しい。2‐0でフロンターレかな」と決勝戦のスコアをうらなった。
翻ってフロンターレは故障していたベテランのDF寺田周平が復帰し、ほぼベストの陣容が整った。今シーズンに限れば2戦2勝と相性は抜群。追い風は感じているが、それでも中村は「FC東京もJ1で勝って来てますから。もちろんオレらは引いて守るようなチームじゃないので。常にアグレッシブにいきたい」と自らに言い聞かせるように原点に返ることを強調した。
サッカーの勝敗において先制点が大きな比重を占めるのは言うまでもないが、攻撃サッカーを標榜する両チームが激突する大一番はことさら重要になってくる。
フロンターレが先制点を奪えばFC東京はより攻勢を強め、その結果としてフロンターレの「伝家の宝刀」のカウンターが何度も抜かれることになるだろう。ワンサイドになる可能性もある。
逆にFC東京が先制すれば、2年前同様に焦燥感にかられるフロンターレをいなすような試合展開で1‐0のままタイムアップを迎えるかもしれない。前出の柱谷氏も「ここにきてFC東京の守備が非常に安定してきた」とFC東京の勝機は守備にあると指摘している。
果たして、J2時代から通算して17回目となる「多摩川クラシコ」でどのような歴史が刻まれるのか。天皇杯を含めたカップ戦で両チームが対戦するのは、意外にも今回が初めてとなる。
2009年11月 3日 02:57|記事URL|コメント(0)|トラックバック(0)
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