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堅守速攻で臨むならば中村憲剛のタテパスを生かせ  by 藤江直人

堅守速攻で臨むならば中村憲剛のタテパスを生かせ  by  藤江直人

 ここは中村憲剛の出番なのではないか。
 南アフリカはジョージ発の一報に、こう思わずにはいられなかった。岡田武史監督がジンバブエ代表との練習試合の一本目で本田圭祐をMFではなくワントップで起用し、その背後に大久保嘉人と松井大輔の両MFを置いた。指揮官はその意図をこう説明する。
「本田を中央に置く場合は、サイドには裏に抜けられる選手が必要だと思った」


 テーマは至極単純だ。いかに素早く、いかに正確に本田のもとへボールを運べるか。
 フィジカルが強く、ボールキープにも長けている本田はいわば最前線基地。岡崎慎司やワントップへのポテンシャルを秘めた森本貴幸らの本職組ではなく、MFの本田を起用する意図もそこにある。本田がタメを作る間に大久保と松井が両サイドから攻め上がる図式だ。
 強固なブロックを形成して相手ボールを拾うや、志向してきた中盤の細かいパスワークを省いてカウンターを仕掛ける。一発でゴールは奪えなくても、セットプレーのチャンスを獲得する。


 そのためにはタテへの正確無比なロングパスが必要不可欠になる。
 ボランチには逆三角形の底に阿部勇樹、その前方に遠藤保仁、そしてゲームキャプテンの長谷部誠が配された。守備力の阿部。ボールを巧みに散らす遠藤。運動量と推進力に長ける長谷部。同じ顔ぶれだったイングランド戦では及第点の働きを見せたが、ボールを前に運ぶ「タテ力」の点では憲剛に一日の長がある、と言わざるを得ない。
「タテパスは自分の持ち味。というか、タテパスがなければ自分じゃなくなる」
 憲剛自身、自分自身のプレースタイルをこう評してはばからない。


 4日後に迫ったカメルーンとの1次リーグ初戦。攻撃力で圧倒され、試合の主導権を握られ続ける展開を見越した上で、岡田監督が4‐3‐2‐1の「堅守速攻布陣」を思い描いたことは容易に想像できる。
 カウンターに徹するならば、阿部、長谷部と組むもう一人はボールを散らす遠藤ではなく、屈指の「タテ力」を搭載する憲剛となるのではないか。所属する川崎フロンターレでも04年から昨シーズンの途中までボランチを務めた。ポジションへの不安はないし、セットプレーのキッカーも務められる。ミドルレンジからの強烈なシュート力という武器も兼ね備えている。


 実際、憲剛のタテパスへのこだわりは誰よりも強い。
「相手ボールを奪った瞬間こそが最大のチャンス。相手は前に出てきているから、ほんのわずかな時間ながら、攻撃から守備に切り替えるまでの間にエアポケットに陥りやすい。そのスキをむざむざ見逃す手はない」
 この考え方こそがカメルーン戦で得点機、ひいては勝機をたぐり寄せるカギになる。特に緩慢さが指摘される相手守備陣に対しては、もっとも有効な攻撃手段のひとつになるだろう。


 憲剛がボランチに転向してまだ間もない頃。「真っ直ぐオレにボールを入れて来い」とタテパスへの意識付けをしてくれたフロンターレのエース・ジュニーニョからは、ボールを後方へ下げる度に怒鳴られたという。
 いまとなってはその意味がよくわかる。セーフティーなパスを選択した瞬間に相手はひと息つき、エアポケットから脱出してしまう。虎穴に入らずんば虎子を得ず。タテパスには冒す価値が十二分にある、と憲剛は本能で理解している。


 たとえタテパスが本田にピンポイントで合わなくてもかまわない。相手の最終ラインと中盤との間が間延びすればセカンドボールを拾う確率が上がるし、大久保や松井、そして長谷部が攻め込めるスペースも生まれる。
「タテパスを狙うのに感覚は関係ない。タテパスが多ければ相手も嫌がる。ゴールに直結するパスを何本出せるか、だと思っている」
 いまでは左右の両足からワンステップでタテパスを出せる。この武器を使わない手はない。


 2月のACLであごを骨折する大けがを負い、憲剛自身も「どうなっちゃうんだ」とネガティブな気持ちを抱かざるを得なかったという。しかし、予定より早い4月中旬に復帰し、徐々に出場時間を延ばし、5月10日の代表発表の直前のJ1で先発フル出場&初ゴールを決めた。
「自分のシーズンはまだ開幕したばかり。心身ともにすごくフレッシュな状態です」
 災い転じて福となす。いまでは自らにこう言い聞かせている。


 対照的に遠藤は1月1日の天皇杯決勝までを戦い、満足にオフを取れないまま1月中旬からの日本代表のトレーニングキャンプに突入。2月以降の国際Aマッチもほぼフル出場し、ガンバ大阪でもリーグ戦とACLを平行して戦った。
 シーズン前半に心身を酷使した代償なのか。ガンバだけでなく不動の地位を築いてきた日本代表でも、明らかに精彩を欠いていたことは岡田監督も認めていた。


 特に2月の国際Aマッチ4連戦では、海外組を招集できない中、不振のチームを引っ張らざるを得なかった。孤軍奮闘してきた点は気の毒に思えるが、心技体でベストの選手がピッチに立つのが勝負の世界の掟でもある。
 コンディションを取り戻すのに時間を要している中村俊輔は、すでに大黒柱の座をはく奪された。ポゼッションサッカーの中核を担ってきた遠藤のプレースピードは明らかに遅い。残念ながら、カウンターを志向するサッカーにおいては居場所がない。


 残された時間そのものが少ない中、憲剛の起用は確かにリスクを伴う。
 しかし、5月に入ってから布陣や戦法がコロコロと変わり、ポゼッションサッカーという理想をかなぐり捨て、最終的に落ち着いた「堅守速攻」型も付け焼刃の感は否めない。
 だからこそ、求められるのは適材適所。ゴールゲットへの、そして勝ち点獲得への可能性を秘めた選手を起用するべきだが、果たして岡田監督はどんな最終判断を下すのか。
 日本代表は今日11日を完全オフに充ててカメルーン戦への英気を養い、12日に決戦の地ブルームフォンテーンに入る。

2010年6月11日 08:26|記事URLコメント(1)トラックバック(0)

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コメント(1)

更新いつも楽しみにして見ています。

全くその通りです!今こそケンゴを使うべきです!!縦パスの意識は今の代表でNo1です。

遠藤と俊輔を先発から二人一緒に使うのはだめです。似たようなパサーは二人いらないです。短いパス交換は、どうしても相手にひっかかります。使うならどちらかひとり。遠藤はシュートの落ち着き、正確性もあるので、ゴールに近いポジション、高い位置で使った方が力をもっと出せると思います。

サイドバックと中盤のサイドの選手が少ないのがメンバー選びで失敗しましたね。左サイドは、大久保、松井、長友、駒野(左右出来ますが)なのでまだいいかと思いますが、ロングフィードが出来る中田浩二も選ぶべきでした。右には石川も選ぶべきだったと思います。個人的な考えですが、縦へ突破してのクロス、中へ切り込んでのシュートが出来る清水の市川も十分に右サイドでの代表だと思います。長谷部を右サイドバック(ボルフスブルグでもやってますし)で使えば今の代表の力になるとも思います。

岡田は、適材適所ってわかってないですね。試合中にポジションチェンジを繰り返し、人もボールも動くサッカーと言えば聞こえはいいですが、それが無駄走りとなって後半バテテ90分もたないと言われる原因だと思います。大きなサイドチェンジのパスも今の代表には皆無です。長短のパスを織り交ぜることによって、相手を走らせて疲れさせれば自分達のペースで試合を進められて無駄な動きも減り、90分戦えるサッカーが出来るはずです。

中盤の両サイドと両サイドバックの関係、左なら松井と長友(駒野)、右なら俊輔と内田(最近かやの外ですが)の関係が守備も攻撃も重要です。今の岡田には、もうこの考えはないですね・・・

日本がグループリーグ突破したら、それはよっぽど相手の調子が悪かった場合しかないはずです。仮にそうなり、勝っていってしまったら監督、協会は大きな勘違いのまま日本サッカーは悪い方へ突き進んでいきます。今後の日本のサッカーを考えたら、しっかり負けた方が(おかしな言い方ですが)サッカーファンも含め自分達のためにはいいです!!!正しい道、ワールドカップで勝っていくための道へ間違わずに進んでほしいです。

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