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監督不在のまま発表された新生日本代表への違和感 by 藤江直人
W杯南アフリカ大会後では初めてとなるサッカーの日本代表が発表された。
決勝トーナメント進出を勝ち取り、日本中を熱狂させた23人のメンバーから、代表からの引退を公言していたMF中村俊輔、コンディションが万全ではないMF稲本潤一、海外への移籍が決まった、もしくは交渉中のFW矢野貴章、MF阿部勇樹ら7人が抜けたが、MF本田圭佑をはじめとする海外組は8人全員が参戦。サプライズ的な抜擢もない顔ぶれとなった。
当初は30人前後の規模で8月30日から始動、という青写真が描かれていたが、発表された集合日はパラグアイ戦2日前の9月2日。中途半端な印象はぬぐえない。
代表選手選考は日本サッカー協会の技術委員会主導で行われた。監督代行を務めることが決まっている原博実強化担当技術委員長は23人の選考理由をこう説明する。
原委員長「ほとんどすり合わせる時間がないので、ある程度慣れているメンバーをベースにしながら、前の方にフレッシュな選手を入れて戦っていくことが現段階で一番日本のよさを出せるんじゃないかということでこのメンバーになりました」
当然のように、日本版「黄金の中盤」に魅せられた02年のジーコ監督、どんなチームを作るのかと期待させられた06年のオシム監督の初陣時のようなドキドキ感はない。
酷暑下での戦い余儀なくされてきたJクラブ所属の選手たちは今週末のリーグ戦を戦い、さらに9月1日に行われるナビスコカップの準々決勝第1戦にも出場。翌日からの合宿に参加し、中2日でパラグアイ戦、さらに大阪・長居に移動して中3日でグアテマラ戦に臨む。
より過酷なスケジュールが組まれた理由は明白だ。難航を続けている次期日本代表監督選定問題は、現時点でまだ決定のめどすら立っていない。パラグアイ戦およびグアテマラ戦の開催意義そのものが薄れている中で、不満を募らせているJクラブ側の「ガス抜き」の意味合いも込められて「ナビスコカップ参戦OK」なる譲歩につながったと見るのが自然だろう。
この点について、当然ながら日本協会側の説明は歯切れが悪い。
原委員長「譲歩したということよりも、日程的には本来は30日からは代表が優先となっていました。だ、ここまで新監督を決められなかった。いろいろなことを考慮して、1日のナビスコカップには出てもらい、ナビスコカップがない選手たちも自分たちのクラブで調整をしてもらうのが一番いいだろうということで、このスケジュールになりました」
新監督との交渉が合意に達すれば観光ビザで緊急来日してもらい、2日からの代表合宿や試合を視察してもらう構想も描かれているが、状況は依然として不透明のままだ。
国内組の15人のうちナビスコカップ予選リーグで敗退したクラブに所属している選手は、名古屋グランパスのGK楢崎正剛とDF田中マルクス闘莉王、横浜F・マリノスのDF中澤佑二と栗原勇蔵、浦和レッズのMF細貝萌、セレッソ大阪のMF乾貴士の6人しかいない。
海外組の8人も長時間移動による疲れと時差ぼけを抱えたまま試合に臨む。極東に位置する日本の宿命とはいえ、これで「リベンジ」と銘打たれた初陣に万全の状態で臨めるのか。W杯後も指揮を執るヘラルド・マルティーノ監督のもと、FWロケ・サンタクルスらほぼベストの布陣で8月31日に来日するパラグアイとはあまりにも対照的だと言わざるを得ない。
年内の日本代表のスケジュールは計4試合。年明け早々の1月9日にはヨルダン代表とのアジアカップ予選リーグ初戦が待っている。アジアカップで3位以内に入らなければ次回大会へのシード権を失い、2014年のブラジルW杯へ向けて貴重な強化の場となる国際Aマッチデーに格下のアジア勢との予選を戦う「負のスパイラル」を再び強いられる。
しかも、来年9月にはブラジルW杯のアジア予選が早くもスタートする。こうしたスケジュールを考慮すれば日本代表に「消化試合」はあり得ないが、だからこそ「船頭」を決められないまま迎える2試合がいかにも中途半端となってしまった今回の大失態が残念でならない。
国際サッカー連盟のウェブサイトによれば、W杯南アフリカ大会に出場した32か国のうち、新体制でスタートを切っていないのは現時点で日本と北朝鮮だけだという。こうした状況に、セレッソ大阪を率いるレヴィー・クルピ監督からはこんな提言すら飛び出している。
「私が思うには、彼の経験、あるいは日本のサッカーに対する知識を考えれば、日本代表の監督を務めるのに一番相応しい方ではないかと思っています」
鹿島アントラーズを率い、前人未踏のリーグ4連覇を目指しているオズワルド・オリベイラ監督を推挙したものだが、原委員長は「Jからの引き抜きはない」とこう続ける。
原委員長「4年後を目指して、日本に合って、日本をもうひとつ上のレベルに導いてくれる、そういう監督を探すためにいい契約をしたい。そのための努力をしています」
最終的な条件提示を済ませ、回答を待っている監督候補は現時点で3人。原委員長は日本時間の28日を最終期限としていたが、監督選定責任者の大仁邦弥副会長は「28日までに返事がなければ交渉を打ち切るということではない。ただ、いい返事をもらえることを願っている」と原発言を微妙に修正している。これで本当に大丈夫なのか。疲労困ぱいの中、代表選出に誇りを見出し、必死にモチベーションを高めようとしている選手たちが気の毒でならない。
2010年8月28日 16:01|記事URL|コメント(0)|トラックバック(0)
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