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内容も問えるガチンコ勝負。コパ・アメリカで二兎を追え by 藤江直人

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待ち望んでいた組み合わせ、と言ってもいいのではないか。来年7月にアルゼンチンで開催されるコパ・アメリカの組み合わせ抽選会で、招待国として参加する日本はA組で日本時間3日にコロンビア、8日にボリビア、12日に開催国アルゼンチンと対戦することが決まった。
南米サッカー連盟が主催するコパ・アメリカの第1回大会が開催されたのは1916年。今回が43回目とナショナルチームによる大陸選手権では世界で最古の歴史を誇り、南米王者の座をかけて参加各国が威信をかけて激しい戦いを繰り広げる。
他の大陸から2か国を招待する形式が導入されたのは1993年エクアドル大会。日本はパラグアイで開催された1999年大会以来、2度目の出場となる。
最多優勝国はアルゼンチンとウルグアイのそれぞれ14回。しかしながら、前者は1993年大会を最後に優勝がなく、直近の2大会はいずれも宿敵ブラジルに決勝で敗れている。
しかも、前回ベネズエラ大会では0対3と惨敗を喫しているだけに、開催国となる今大会における覇権奪回への執念は並大抵ではない。しかも、10月8日に埼玉スタジアム行われた親善試合では日本に0対1で敗れ、まさかの大金星を献上している。
セルヒオ・バティスタ暫定監督は日本までの長距離移動や時差を敗因のひとつに挙げたが、どんなに理由を取り繕うとも「負けた」という事実は変わらない。FIFAランク5位の強豪が格下の日本に屈した、という衝撃は瞬く間に世界に伝わった。
当然のように、アルゼンチンはプライドをかけてリベンジを果たしにくる。大陸王者を決める文字通りの真剣勝負。日本のように整備されたピッチは南米ではむしろ珍しく、地元サポーターの応援も熱狂的というレベルをはるかに超越。対戦相手は殺気すら覚えるだろう。
まさに完全なるアウェーであり、心技体の特にメンタルをタフにするには打ってつけの舞台に立てるのだ。日本代表を率いるアルベルト・ザッケローニ監督も、日本サッカー協会広報を通じて出したコメントで開催国アルゼンチンとの対戦を歓迎している。
「アルゼンチンは優れたテクニックを持つ、ブラジルと同様に世界最強のタレントを擁するチーム。ホームでの開催でもあり、大会の優勝候補筆頭と言えるでしょう」
地理的な問題もあって、日本代表は南米大陸での試合経験が極端に少ない。
1999年のコパ・アメリカ以外ではJリーグ発足前の1989年に行ったブラジル遠征のみ。次回W杯がブラジルで開催されることを考えれば、今回の経験は貴重なものになる。
何よりも、南米勢は南米大陸での試合になると変貌を遂げる。
フィリップ・トルシエ監督に率いられた前回出場時はペルー、パラグアイ、ボリビアと対戦。その1か月前に日本で戦い、見せ場のないスコアレスドローに終わっていたペルーとは点の取り合いの末に2対3で敗れ、開催国パラグアイには0対4と惨敗。技術うんぬんを語る前に、堅守速攻を伝統するパラグアイが執念をむき出しにする前で赤子扱いされてしまった。
ボリビアとの最終戦こそFW呂比須ワグナーのPKで何とか1対1で引き分け、勝ち点1こそ獲得したものの、グループリーグ最下位で敗退。10番を背負って日本代表の攻撃のタクトを揮っていた名波浩氏は「あの大会は本当にきつかった」と振り返っている。
当時の日本はフランス大会で初めてW杯の舞台に立ち、遅まきながら世界への第一歩を踏み出したばかり。必然的に「お客さん」的な立場は否めず、経験も圧倒的に不足していた。
あれから11年。W杯では2度決勝トーナメントに進み、特に下馬評を覆した今夏の南アフリカ大会では世界中に日本という名前を知らしめた。ホームながら9月にはパラグアイ、そして10月にはアルゼンチンを撃破した。日本が置かれている状況は劇的に変わっている。
FIFAランクがすべてではないが、実力を比較する上での一応の目安にはなる。現在30位の日本にとって、5位をキープするアルゼンチンはともかく、46位のコロンビアは決して手の届かない存在ではなくなっている。100位のボリビアは格下だ。
「コロンビアは、DFの組織化を得意とするチームという印象です。また育成システムが非常に機能していると思います。ボリビアについては、前述の2チームに比べると戦力的に劣ると見られがちですが、南米のチームはどこもテクニックが優れている上に、精神面でもタフな選手がそろっているので、当然注意しなければならない相手です」
ザッケローニ監督は相手をリスペクトすることを忘れないが、実際、チャンスは大きい。
7月16日からの決勝トーナメントには8か国がコマを進める。ヨーロッパではシーズンオフの時期となるため、本田圭佑や香川真司の両MFをはじめとする海外組も、満を持して招集することができる。A、B、Cに分けられた各組の上位2チームと、3位のうち成績のいい2チームの一角に日本が食い込むことは、決して不可能ではないだろう。
タフネスさを要求される90分間を3度も経験できる上に、結果次第では準々決勝以降でブラジルやW杯南アフリカ大会で4位に食い込んだウルグアイ、高い評価を得たチリといった強敵とも戦うことができる。いわゆる「ガチンコ勝負」で強化を図れながら、世界のレベルを肌で感じることもできる。冒頭で「待ち望んでいた」と記したのはこのためだ。
以前にもこの「本日の論」で記したが、来シーズンの日本サッカー界全体のスケジュールは非常にタイトで、日本代表強化へ向けてそれほど多くの時間が割けない状況になっている。
年明け早々の1月にはアジアの大陸選手権であるアジアカップが中東カタールで開催され、日本代表は2大会ぶりの覇権奪回を至上命題に掲げている。9月2日からはW杯ブラジル大会出場をかけたアジア3次予選が早くも始まり、年内に5試合を消化する。アジアカップもW杯予選も公式戦であり、当然のことながら、内容よりも結果を求められる。
だからこそ、試合内容を吟味しながら真剣勝負ができる、いわゆる「二兎」を追うことができるコパ・アメリカの存在感が否が応でも増してくる。
ザッケローニ監督も広報を通じたコメントをこう締めくくっている。
「日本代表にとっては、2014年のW杯に向けて、この大会を通じてさらにチームが成長していければと思っています」
前任の岡田武史監督が築いた実績を尊重し、その土台の上に独自色を上塗りしながら「ゆっくりとこのチームを成長させていく」と今後のプランを描く指揮官にとっても、事前合宿を含めて最低でも2週間の時間を共有できる来夏は戦術を浸透させる上で貴重な時間となる。
贅沢を言わせてもらえるとしたら、グループリーグの試合順か。注目が集まる開幕戦でアルゼンチンと対戦できたら、より激しく、タフで歓迎すべき90分間になることは必至だったが。
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2010年11月13日 15:00|記事URL|コメント(0)|トラックバック(0)
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