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反町康治監督続投で始まる湘南ベルマーレの捲土重来 by 藤江直人

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■J1第33節
湘南ベルマーレ[勝ち点16] 0‐4(前半0‐0) セレッソ大阪[勝ち点58]
[11月28日午後1時3分キックオフ@平塚競技場/観衆8775人]
今年の七夕。W杯による中断からの再開が迫っていたJ1戦線へ向けて、湘南ベルマーレの反町康治監督は決意を込めた四字熟語を短冊にしたためた。
「百折不撓(ひゃくせつふとう)」
聞き慣れない言葉だが、辞書で意味を調べると、なるほどと納得させられる。
「何度失敗してもくじけずに挑戦すること。志を曲げないこと」
より厳しさを増してくるであろう日々へ自らを、そしてチームを鼓舞したかったのだろう。実際、7月14日の鹿島アントラーズ戦以降の戦いは「くじけること」の連続だった。
勝てない。その前段階として攻められない、守れない。何よりも戦えない。
現時点における最後の白星は、敵地西京極で行われた7月18日の京都サンガ戦。後半1分にもぎ取った虎の子の1点を、即席の3バックでなりふり構わず守り倒した。
「とにかく勝てばいい。なんなら、ゴールキーパーも2人同時に使おうか」
当時は軽妙なジョークを飛ばしていたベルマーレの眞壁潔社長も、その後に訪れる泥沼地獄までは予測できなかったのではないか。
セレッソ大阪を迎えたホーム最終戦でも、覇気を感じさせないサッカーが展開された。
前半のシュート数がゼロ。ホームでこの数字は恥ずかしいと言わざるを得ない。
ベルマーレのカウンターを警戒するセレッソの慎重な攻撃に助けられてはいたが、後半8分にDF丸橋祐介が約30メートルのミドルシュートを突き刺すと状況が一気に悪化する。
失点した途端に下を向き、腰が引けてしまうベルマーレの守備陣。もちろん、来シーズンのACL出場権を得る3位以内がかかっているセレッソは容赦しない。
9分後にはアマラウ、さらに3分後にはマルチネスとボランチの2人が着々と加点。怒涛の攻撃は、終了間際に相手のオウンゴールまでも誘発させた。
0対4。完膚なきまでに叩きのめされた。後半に放ったシュートもわずか4本。そのすべてが大勢が決した後であり、ゴールの枠をとらえることすらできなかった。
セレッソとは昨シーズンのJ2で3度対戦し、ベルマーレが2勝1敗と勝ち越した。ともに昇格したJ1の舞台で鮮明になった明と暗。セレッソの失点30はリーグ最少タイ、得失点差プラス22は最多。リーグワーストの79失点を数える反町監督は素直に差を認めた。
「昨年も勝ったとは言え、試合内容は多少差をつけられていた。今年に入ってバージョンアップしたチームと、逆にバージョンダウンしたチームの差があるのかなと思う」
連続勝ち星なし試合は「20」に伸び、横浜FCのJ1ワースト記録に並んでしまった。
荒波を覚悟して臨んだ11年ぶりのJ1戦線だったが、シーズン中に手術を受けた選手が13人を数えるまで故障者が続出したことは文字通りの想定外だった。
特にGK野澤洋輔、DFジャーン、MF田村雄三、FWアジェルとJ1昇格への原動力になった「タテのライン」が相次いで戦線離脱。守備の要だったジャーンは退団し、両ひざの痛みが日常生活にまで悪影響を及ぼした選手会長の田村は28歳の若さで現役引退を決断した。
J2時代はJ1のクラブが控えの選手を貸し出してくれたが、同じ土俵に立つ今シーズンは交渉の余地すらない。必然的に経験値が絶対的に足りない若手で戦うしかなかった。
こうした状況を、眞壁社長は「監督一人だけの責任ではない」ととらえている。開幕前に行った補強で、すでに人件費に関する予算はほぼ使い切っていたからだ。
「選手層が極端に薄いウチで、これだけけが人が出ればそれは無理ですよ」
ある時点で今シーズンのJ1残留は不可能と判断し、来たるJ2での戦いで3位以内に食い込むために方針を転換したのだろう。眞壁社長の命を受けた大倉智強化部長が反町監督に3年目となる来シーズンの続投を要請したのは、降格が決まる5日前の11月9日だった。
ベルマーレととともに降格が決まったサンガを含めて、残留争いを強いられたチームはすべて監督解任の荒療治を打っている。眞壁社長に指揮官続投の真意を聞いた。
眞壁社長「監督を代えてよくなったのは大宮アルディージャと、最近負けていないヴィッセル神戸くらいでしょう。逆にサンフレッチェ広島のペトロヴィッチ監督や柏レイソルのネルシーニョ監督はJ2に降格した後も指揮を執り、再びJ1に昇格させている。
確かにウチは今シーズンのJ1でボロボロにされたけど、昨シーズンのJ2で後半ロスタイムに10ゴールを挙げたことは、決して偶然ではない。反町監督の指導の下で力は確実についている。来シーズンのJ2で再びJ1昇格を目指す中で、一からチームを変えてジェフ千葉、右肩上がりで伸びてきている横浜FCや東京ヴェルディを相手にするにはリスクが高すぎる」
3回戦総当りで年間50試合を超える異例の長丁場だったJ2が、チーム増に伴って今シーズンから2回戦総当りとなり、ひとつの白星に対する比重が増したこととも関係する。試合数が減った以上は、開幕ダッシュに失敗すれば3位以内にはまず手が届かないからだ。
試合後の記者会見。当然のように来シーズンに関する質問が指揮官に飛んだ。
反町監督「もちろん責任は痛感している。その責任をどう取るか。J1を戦ったからこそ見えてきたものというのは、中途半端な成績で残留するよりは打ちのめされて、いったんチームを破壊して、まっさらな状態からの方が再構築しやすいではないかとも感じている。いろいろと自問自答しながら、クラブとも話をしながら最終的には決めたい」
J2降格決定に伴い、すでにフロントは来シーズンのチーム運営予算を4億円減の9億円とすることを決定。必然的に、補強を含めた人件費も圧縮されてくる。
来シーズンはJ2クラブに貸し出されていた21歳のDF鎌田翔雅、19歳のMF菊池大介らが復帰。2種登録でチームに帯同させている17歳のDF遠藤航、JFA・Jリーグ特別指定選手として10試合に出場した中央大学4年のMF永木亮太らも正式に加入する。
「一方で24、25歳の年代の選手がまったく通用しなかったのも事実」
J1での戦いを振り返った眞壁社長は、補強ポイントを中堅どころに限定する方針も明言。反町監督の返事を待ちながら、捲土重来を期す陣容を急ピッチで固めている。
12月4日の最終節は敵地で10位のアルビレックス新潟と対戦する。
かつて反町監督が指揮を執り、J1昇格へと導いた古巣。3月27日にホームの平塚競技場で今シーズン初勝利を挙げた相手だが、その後の両チームの軌跡を見る限りは、夏場には一時4位にまで浮上したアルビレックスの優位は動きそうにない。
しかし、たとえJ1ワースト記録を更新する不名誉な事態を招いたとしても「百折不撓」の精神そのままに、指揮官の心中にもその先に続く戦いへの意欲が芽生え始めているようだ。会見で残した言葉は、続投への決意を固めつつあることをうかがわせるに十分だった。
反町監督「結果については恥ずかしいもので反省しているが、選手たちが一生懸命やっていることに関しては、恥ずかしいとは思っていない。私がどうこうではなく、選手たちはよくやったという言い方になる。この段階で『よくやった』と言うのは変ですけど、彼らは持てる力を出している。ただ、どうしても越えられないハードルもある。
そのハードルを越えるためにどうするのか。経済的に恵まれているわけではないない中で、クラブとして自分たちの生きる道をしっかり見つけなければいけない。かといって、地中深く潜ってしまうことのないようにやらなければいけないでしょうね」
眞壁社長はアルビレックス戦後に反町監督と都内で食事をする約束を交わしている。
「おそらくその場で(続投の)返事をもらえるんじゃないかな。この時点で何も言ってこないということは、やる気十分なんだと思うけどね」
ホームの最終戦になって、アウエー側のゴール裏には悲願だった最新型の大型スクリーンが登場した。「これだけはJ1でも上位だね」と指揮官が自嘲気味に笑った画面には「百折不撓」の四文字に英文が添えられ、最後まで見守ったサポーターへ決意を表明していた。
"We shall return 2012"
1年でJ1の舞台に戻ってくるために。志を曲げることなく、あえてイバラの道を突き進む。
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2010年11月29日 04:28|記事URL|コメント(0)|トラックバック(0)
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