Home > 本日の論! > プレッシャーを糧に。斎藤佑樹が初めて漏らした本音 by 藤江直人
プレッシャーを糧に。斎藤佑樹が初めて漏らした本音 by 藤江直人
注目の黄金ルーキーが漏らした、おそらく初めての本音となるのではないだろうか。
早稲田大学からドラフト1位で北海道日本ハムファイターズに入団した斎藤佑樹投手が、16日の新人合同自主トレーニング終了後に、ますます加熱する「佑ちゃんフィーバー」に対する偽らざる思いと大きな期待を背負って臨むプロの世界への抱負を語った。
斎藤「不思議というか、高校3年からこういう感じだったので。正直、本意じゃないけど、(メディアに)取り上げていただけるのは嬉しい。結果として出ないと苦しむのは自分なので、人よりは苦しむと思うけど、プレッシャーを自分にかけて活躍できるように頑張りたい」
慎重に言葉を選びながら、胸を張って答える姿から揺るぎない決意が伝わってきた。
この日は新人合同自主トレーニングが始まって最初の日曜日。朝から小雪がちらつく寒さにもかかわらず、千葉県鎌ケ谷市のファイターズスタジアムには1997年3月の開場以降で最多となる約1万1000人のファンが集結。日替わりで色を変えてきたレッグウオーマーを、この日は鮮やかな赤で決めた斎藤の一挙手一投足を追った。
午後には「2011年度新入団選手歓迎式典」がスタジアムの内野グラウンドで行われ、斎藤は他の5人の新人とともに清水聖士市長に転入届を提出。自己紹介に続いて「入って早々で申し訳ないですが、早く(一軍の)札幌に行きたい。決して鎌ケ谷の皆さんがイヤというわけではないんですが」と今年の抱負を語って会場の拍手と笑いを誘った。
新人合同自主トレーニングの第2クール初日に行われる、毎年恒例となっているこのイベントだが、今年の舞台裏は数日前から風雲急を告げていた。
当初は内野スタンドのみの入場券約2400枚を用意する予定だったが、12日から行われてきた新人合同自主トレーニングにおける斎藤のファン動員力を考慮。内野を取り囲むエリアも開放して、最大で約3000人分の立ち見エリアを急きょ確保することにした。
果たして、午前9時から販売された1枚500円のチケットは1時間半後には完売。入り切れないファンが外野席後方の外周道路にもあふれる光景に、斎藤自身も「こんなに来られるとは思っていませんでした」と驚きの表情を浮かべたほどだ。
もちろん、フィーバーはこれだけにとどまらない。警備員も通常の二軍戦の約3倍となる50人が配置。スタジアム内には地元の鎌ケ谷警察署の詰め所も設けられた。
今月21日からのネット販売に先駆ける形で、この日限定で販売された新入団選手のグッズも、斎藤のものだけが午前10時の発売開始から30分ほどで完売した。携帯ストラップ(600円)が500本、フェイスタオル(1200円)とTシャツ(2800円)がそれぞれ200枚。下世話な計算になるが、入場券とグッズだけでわずか半日のうちに380万円を売り上げたことになる。
集まったメディアの数も、新人合同自主トレーニング期間中では最大となる277人。こうした状況が、斎藤をして「正直、本意ではない」と言わしめたのは容易に察しがつく。
スポーツ新聞では、ほぼ連日に渡って「斎藤佑樹」の文字が一面に躍っている。テレビのニュース番組でも、斎藤のネタがトップ扱いで報じられたこともあった。
延長再試合となった駒大苫小牧との球史に残る決勝戦を熱投で制し、「ハンカチ王子」なるニックネームとともに一世を風靡したのが2006年の夏。以来、早稲田大の4年間を含めて常に脚光を浴びてきた斎藤も、計り知れないほどのプレッシャーを感じているのだろうか。
プロでまだ一球も投げていない状況でこの騒ぎ。流行語大賞の特別賞を受賞した「持っているのは仲間です」に象徴される、当意即妙な受け答えが現時点で顔をのぞかせていないのも、何の結果も残していない自分自身の現在地を熟慮しての「封印」とすれば合点がいく。
もちろん、萎縮しているわけではない。早稲田大でも苦しみながら結果を残してきたように、プレッシャーを糧にしながら成長していく覚悟は冒頭のコメントからもうかがえる。
さらには、早稲田実業の偉大なるOBで、プロ野球界の大先輩でもある福岡ソフトバンクホークスの王貞治会長から届けられた熱いメッセージも斎藤を奮い立たせている。
12日に都内で行われた早稲田実業野球部のOB総会。ひな壇に立った王会長は、自身と斎藤の2人しかいない同校の甲子園優勝投手の経験を踏まえて、こんな檄を送っている。
「斎藤佑樹というページを残してほしい。本人は大変だと思うけど、これは宿命。本人が頑張ったことによって自分で招いたこと。自分でまいた種は自分で刈れ」
人格者の王会長らしい、厳しさの中にも優しさがあふれる言葉。ドラフト会議では1位で競合した末に斎藤を逃したが、プロ野球界に携わる一人として「すでに華はあるけど、その花をもっと大きく咲かせてほしい。プロはレベルが違うけど、乗り越えていける」とも続けた。
もちろん、当の本人が感激しないはずがない。弱肉強食を唯一無二の掟とする、プロの世界の荒波を乗り越えていく上での「金言」として、すでに心に刻んでいる。
斎藤「自分でまいた種を刈りとれるように、しっかりとやらないといけない。周りのいろいろな人から応援され、活躍できる選手になりたいと思う」
この日の新人合同自主トレーニングでは初めてスパイクをはいた。2月1日のキャンプ初日から逆算して、「このクールでブルペンに入りたい」と自分なりの青写真も描いている。
新入団選手歓迎式典に続いて行われた「交流会」では、サインボールをスタンドのファンへ投げ込むところをただ一人、バックネットに当てて慌てて拾いに走った。
司会進行役の女性からチャームポイントとして「豆柴に似ているところ」と紹介されると、意外な結びつきにスタンドから歓声がわきあがった。人気上昇中の小さな柴犬のことだが、暖をとった室内練習場で行われた囲み取材が解ける際に「なぜ豆柴」なる点が確認された。
斎藤「自分で考えたことじゃないんですよ。周りの人からいろいろと提案してもらって。でも、よく似ていると言われるんです」
ルーキーらしい屈託のない笑顔が、最後になってようやく弾けた。
2011年1月16日 23:53|記事URL|コメント(0)|トラックバック(0)
トラックバック(0)
この記事のトラックバックURL: http://sv62.wadax.ne.jp/~sports-times-jp/mt/mt-tb.cgi/474
コメント(0)
コメントを書く
- 井上康生 「最後の内また」
(2008/06/08 21:36) - 北京五輪100kg超級代表、石井彗の練習風景
(2008/05/24 22:25) - ばんえい競馬@帯広ばんえい競馬場
(2008/05/07 12:15)
カテゴリー
アーカイブ
編集部より