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雨降って地固まるとなるか。不振のFC東京に見えた光 by 藤江直人

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■J2第13節
FC東京[勝ち点9] 1‐1(前半1‐0) 湘南ベルマーレ[勝ち点12]
[5月22日午後4時4分キックオフ@味の素スタジアム/観衆1万5423人]
7試合を終えて2勝3分け2敗の勝ち点9。首位のジェフユナイテッド千葉に7ポイント差をつけられての12位にもがき、総得点4はJ2でワースト2位タイ。しかも、2ゴール以上をあげた試合はひとつもない。現時点のFC東京で目立っているのは、4試合を零封している守備陣の踏ん張りくらいか。
攻撃陣の核となるFW平山相太は4月10日に右足の脛骨と腓骨を骨折し、最悪の場合、復帰まで半年もかかる。代役を務めるはずのFW高松大樹も前節で右ひざを骨折して全治まで約3か月。ボランチの米本拓司は昨年も痛めた左ひざ前十字じん帯を再び損傷し、復帰のめどすら立っていない。
6日に右ひざを手術したMFホベルトは全治まで4か月。同じくひざを痛めた快足のサイドアタッカー石川直宏も、現時点で一度もリーグ戦のピッチに立っていない。
日本代表DF今野泰幸をはじめとして、昨シーズンのJ1を戦った主力メンバーの大半がチームに残留。さらに代表経験のある高松らの補強で圧倒的戦力を形成し、開幕前の下馬評では「独走でのJ1復帰もありうる」と予想されていたはずのFC東京がなかなか波に乗ることができない。
ネガティブな要因を挙げれば、まさに枚挙にいとまがない。ホームの味の素スタジアムに湘南ベルマーレを迎えた一戦でも、現時点で抱える問題点があらためて浮き彫りになった。
新外国人FWロベルト・セザーの初ゴールで開始わずか1分に先制。その後も圧倒的に試合を支配しながら追加点を奪うことができず、後半33分にはカウンターから右サイドを破られ、最後は途中出場のFW中村祐也にダイビングヘッドを決められて同点とされてしまう。
試合後の監督会見。ベルマーレの反町康治監督は「ウチとしては勝ち点1を取れた貴重なゲーム。FC東京さんは勝ち点2を失ったと思っていますが」と総括した。
確かに的を射たコメントだ。しかし、これから31試合も続く長丁場のJ2戦線の行方を考えた場合、痛恨のドローはFC東京にとってのターニングポイントとなるのではないか。
反町監督に続いてひな壇に上がったFC東京の大熊清監督は務めて前を向いた。
「中盤や前線の選手にけが人が続出し、チームの方向性を定めるという部分では試行錯誤が続いている。すぐには戻ってこないけが人が多い中、セザーの体調も戻ってきて、残りのメンバーでこういうサッカーを志向するという方向性がはっきりできたゲームだったと思っています」
前節でザスパ草津に1対2と逆転負けを喫した翌日の15日。東京・小平市の練習場でクールダウンを終えた選手たちが、続々とミーティングルームに集まってきた。
自発的に始まった選手だけのミーティング。部屋の中には危機感が充満していた。だからこそ「つなぐサッカーにこだわっていきたい」とする声に全員が頷いた。
オフをはさみ、再び17日に行われたミーティングでも選手全員の意思が確認された。攻撃に関しては選手たちに「自主性」を与えていた大熊監督にとっても、異論はなかった。
「前線の選手を決めるたびにけがというのは、クラブとしても私としても未曾有のこと。そういう意味ではやりたいサッカーもあるのですが、点を取る選手にある程度合わせていこうと」
ボランチの位置で長短のパスを操り、攻撃を司る梶山陽平は言う。
「それまでは迷いがあった。みんなもつなぐサッカーがやりたかったはずだし、実際、つなぐことができるメンバーがそろっている。ミスしてもこだわりを貫こう、ということで意見が一致した」
平山が不動のレギュラーとして定着したJ1時代の2009年5月以降は、まずは前線の平山にボールを預け、平山が巧みなポストプレーでキープする間に石川や羽生直剛らの2列目の選手が次々にバイタルエリアに侵入していく攻撃パターンが確立されていた。
しかし、平山に続いて高松も長期離脱した今、同じスタイルを追い求めても無理が生じるだけ。泥沼に完全に入り込んでしまう前に、チームのベクトルを合わせる必要があったわけだ。
開始1分の電光石火の先制ゴールは、全員の「つなぐ」意識が結実した一撃だった。
右サイドで細かくパスを交換し、右サイドバックの椋原健太からパスを受けた梶山がペナルティーエリア右からマイナスのクロス。走り込んできたセザーがダイレクトで左足を合わせた。
「でも、追加点を奪えなかったことが課題。実際にチャンスはたくさんあったので」
勝ち点1にとどまった結果を悔しがった梶山だが、同時に手応えも感じている。
「つなぐという意識がはっきりした点で、内容は今シーズンで一番よかった。前線に背の高い選手がいなくなったので、余計につなぐことを意識していかないと。試合後もすぐに選手たちで話し合ったけど、嫌な雰囲気はなかった。これからもつなぐことにこだわっていきたい」
ホーム側のゴール裏スタンドの最前列には「意味深」な横断幕が掲げられている。
「1年間お世話になります。J2なめてました」
けが人が出たとしても、J1時代とほぼ変わらない戦力を擁する今シーズンは間違いなくJ1への昇格圏内となる3位以内に入れる。開幕前から選手、チーム、そしてサポーターの間に漂っていた「驕り」にも近い心のスキは、ここまでの大苦戦で完全に吹き飛ばされた。
「各チームともやることがはっきりしているし、プレーに気持ちもこもっている。僕らも負けない気持ちで、今日のサッカーを続けていけば内容も結果もついてくる」
再び梶山が力を込めた。長丁場のJ2戦線を戦い抜く上での羅針盤を手にできた90分間だとすれば、雨中のドローはFC東京にとって文字通り「雨降って地固まる」となる。
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2011年5月22日 23:40|記事URL|コメント(0)|トラックバック(0)
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