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ザックジャパン考察。「ポスト遠藤」に家長昭博の抜擢を by 藤江直人

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19歳のホープ宇佐美貴史(ガンバ大阪)の初選出のニュースに覆い隠されてしまった感があるが、アルベルト・ザッケローニ監督が掲げる日本代表の世代交代も着実に進められている。
一度に招集できる選手の数が限られている以上、新たに代表に選出された選手が現れれば、必然的に外れる選手も出てくる。同じ攻撃的なポジションの宇佐美に押し出された形で、W杯南アフリカ大会で日本代表のベスト16進出に貢献した1人であり、1月のアジアカップでも主力を務めたMF松井大輔(グルノーブル)がキリンカップ代表25人から姿を消している。
3月に行われたチャリティーマッチに出場したMF阿部勇樹(レスター)も、進境著しい26歳のボランチ柴崎晃誠(川崎フロンターレ)に取って代わられた。
サイドバックには安田理大(フィテッセ)が約2年4か月ぶりに復帰したが、一方で右腕上腕部の骨折から完全復活を果たしている駒野友一(ジュビロ磐田)は招集されなかった。
ともに左右のサイドバックをこなせるユーティリティーぶりで高く評価されている2人だが、年齢を見れば今年1月にガンバから移籍したばかりの前者がまだ23歳なのに対し、後者は7月で30歳になる。松井はすでに30歳となり、阿部も9月に30回目の誕生日を迎える。
30歳という年齢が代表選考の上でひとつのキーワードになっていることは、27日に行われた代表メンバー発表会見の席でザッケローニ監督が発したこの言葉が如実に物語っている。
「A代表全体に言えることは、大切なのは過去ではなく、未来だということだ」
W杯南アフリカ大会を戦った23人の代表選手で、今回のキリンカップに招集されたのはわずか8人しかいない。所属するカターニアで出場機会を与えられず、試合勘が欠如している23歳のFW森本貴幸を除けば、ベテランと呼ばれる大半が外れたことになる。
自ら代表引退を宣言したGK楢崎正剛(名古屋グランパス)とMF中村俊輔(横浜F・マリノス)は別として、同じポジションで甲乙つけがたい選手がいる場合、ザッケローニ監督は3年後のW杯ブラジル大会を見すえ、年齢が若く、心技体で伸びしろがある方を選ぶ傾向にある。
4月に30歳になった田中マルクス闘莉王(グランパス)を招集しなかったのも、22歳の吉田麻也(VVVフェンロー)がセンターバックとしてメドが立ったからに他ならない。
27日の記者会見では、闘莉王や横浜F・マリノスで全試合フル出場を続け、群を抜く存在感を示している33歳のDF中澤佑二の招集に関する質問も飛んだ。
けがなどもあり、現時点では2人ともザッケローニ体制下ではまだ出場していない。
「アジアカップのメンバーはその大会を通して成長してくれたと思っている。よって、今回の招集でも、彼らにさらなる成長のチャンスを与えるのがいいと思った。彼らは宇佐美ほど若くはないが、まだまだ伸びていく時間、伸びしろを持っている。3年後(のW杯ブラジル大会)に向けて、彼らの成長とともにやっていこうと思っている。中澤、闘莉王に関しては安定感が抜群で、計算ができ、完成している選手だから、これ以上の成長は必要ないと思う」
ザッケローニ監督は「安定感がある」や「計算ができる」という言葉を頻繁に使う。代表から外れることになったベテラン選手の心中を慮っているもので、今回は招集しなかったが、Jリーグにおけるパフォーマンスは常に見ている、というメッセージにもなっている。
イビチャ・オシム元監督時代から日本代表の常連だった、30歳のMF中村憲剛をアジアカップの代表メンバー23人から外したときにも同じ言葉を用いていた。
日本代表を支えてきたベテランのプライドを尊重しながら、一方でドラスチックかつスピーディーに進められてきた世代交代。もっとも、その中でひとつだけ「例外」がある。
今回もトレードマークの背番号7とともに招集されているMF遠藤保仁だ。
オーストラリア代表とのアジアカップ決勝前日の1月28日に、遠藤は31歳になった。通算で106を数える代表キャップ数は井原正巳、川口能活、中澤に次ぐ日本歴代4位。中盤の底で巧みにタメを作り、長短のパスを正確無比に配給できる稀有なプレーヤーだ。
ザッケローニ哲学に則れば、現時点におけるチーム唯一の30歳代であり、W杯ブラジル大会開幕時には34歳となっている遠藤も世代交代の対象になる。しかし、遠藤と天秤にかけられるだけの将来性と伸びしろを持つ若手選手は、Jリーグでは見当たらないのが現状だ。
23歳の柏木陽介はポジションも同じで、アジアカップ代表にも名前を連ねた。しかし、所属する浦和レッズの不振に連動するように精彩を欠き、キリンカップ代表からも外れている。
もちろん、遠藤が心身ともにコンディションを維持し、9月から始まるW杯アジア3次予選、そして3年後のW杯本大会に万全の状態で臨めるのならば何ら問題はない。長くサブを強いられてきた遠藤自身、苦労してつかんだ今のポジションをそう簡単に明け渡すつもりはないだろう。
しかし、いっさいの代役がきかない存在である以上、万が一のアクシデントで遠藤が長期離脱を余儀なくされた場合には、日本代表チームの設計図を根幹から描き直す必要に迫られる。そうしたリスクを未然に摘み取るためにも、3年後を見すえて、ザッケローニ監督以下、腹心のスタッフ陣は代表発表から一夜明けた28日もJリーグ視察で全国に飛んでいる。
もっとも、現状で遠藤の後継者が見当たらないならば、コンバートという手がある。例えば、大分トリニータでボランチを務めた経験のあるMF家長昭博(マジョルカ)はどうだろうか。
3月のチャリティーマッチでも招集された家長だが、A代表復帰となると実に4年2か月ぶりとなる。与えられた背番号「10」からも、ザッケローニ監督から寄せられる期待の大きさが分かる。
ジュニアユース時代から「怪童」と呼ばれながらガンバでポジションをつかめず、出場機会を求めてレンタル移籍を繰り返し、セレッソ大阪を経て渡ったスペインの地で捲土重来を期す苦労人の24歳。2列目に多士済々な人材が集うA代表の現状を見ても、キープ力に長け、パスセンスもあり、周囲の選手を使うコントール術も体得している家長を試してみる価値は十分にある。
「チームの新陳代謝を図っていきながら、全体の底上げをしていくことが大事だ」
こうも語るイタリア人指揮官は、その脳裏にどのような青写真を描いているのだろうか。注目のミニキャンプは5月30日から、新潟県内でスタートする。
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2011年5月28日 21:00|記事URL|コメント(0)|トラックバック(0)
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