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最長身FWの招集を見送ったU‐22日本代表の舞台裏  by 藤江直人

最長身FWの招集を見送ったU‐22日本代表の舞台裏  by  藤江直人

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 突出した「個の力」よりも、グループとしての「和」が重視されたということか。
 来夏のロンドン五輪出場権獲得をかけて、U‐22クウェート代表と一発勝負で行われるアジア2次予選に臨むU‐22日本代表のメンバーが22日に発表された。
 総勢22人。その中には先のキリンカップでA代表に抜擢され、アルベルト・ザッケローニ監督もその潜在能力を高く評価するFW宇佐美貴史(ガンバ大阪)も、Jリーグを飛び越えて渡ったオランダの地で眩い脚光を浴びたFW宮市亮(フェイエノールト)も、そしてスペインの下部リーグで着々と力をつけているFW指宿洋史(CEサバデル)の名前も刻まれていない。


 U‐22日本代表を率いる関塚隆監督は、選手選考の最大のポイントをこう語る。
関塚監督「代表チームというのは限られた回数の中で、トレーニングや実戦を通じて積み上げてきたものが大事になってきます。その中でひとつひとつ全体のコンセプト、攻撃と守備のコンセプトを作ってきました。そのベースの中で個人のよさを発揮できた選手を今回は選びました」
 これまでの流れの中で予想できた人選ではあるし、何よりも選手選考は監督の専権事項でもある。声高に異議を唱えるつもりはないが、それでも1メートル95と現時点の日本サッカー界でおそらく最長身となる指宿はメンバーに加えてもよかったのではないだろうか。


 宮市の保有権を持つアーセナルに対してアクションを起こさなかったのとは対照的に、日本サッカー協会は指宿が所属するサバデルへは招集レターを送付している。
 あとは関塚監督の決断次第だったわけだが、スペイン3部に相当するリーグの試合が今週末まで残っている関係で今回は見送られた、という説明はいささか説得力にかける。
 すでにサバデルが2部リーグ昇格を決め、実質的な消化試合になっている点を考えれば、強引に招集することも十分に可能だった。日本サッカー協会の原博実強化担当技術委員長も「あとは現場の判断次第」と語っていたが、最後までGOサインは出されなかった。


 海外組という事情もあって、指宿がU‐22日本代表でプレーしたのは現時点で今年2月の中東遠征の一度しかない。4月以降だけで4度も行ってきた国内短期合宿に呼び寄せることも、現実問題として不可能だった。コンビネーションの面で残る不安が指揮官の脳裏にあったのだろう。
関塚監督「ここで選んだ22人がクウェート戦に臨むにあたってのベストメンバーだと考えましたから、それ以外の選手についてのコメントは控えたいんですけど、指宿は大きなストロングポイントを持っている選手です。我々の戦力としても考えているし、彼だけではなく、(ロンドン五輪出場資格のある)1989年以降の生まれの選手全員にも可能性があります」


 2次予選はホーム&アウェー方式で行われる。19日に愛知県の豊田スタジアムでホーム戦を戦い、翌日には慌しくクウェートへ飛び立ち、23日のアウェー戦に臨む。
 過密なスケジュールもさることながら、2戦のトータルで負けた時点でロンドン五輪への道が閉ざされるというプレッシャーも、おそらく生半可なものではないだろう。
 合計スコアがイーブンのときは、アウェーゴール方式が適用される。19日の第1戦は勝利をもぎ取るのはもちろんのこと、クウェートの攻撃陣を零封するミッションも求められる。ピッチに立つ選手たちには、心身ともにタフになって90分間を戦うことが求められる。


 永井謙佑(名古屋グランパス)や原口元気(浦和レッズ)を主軸とする攻撃陣は所属チームでコンスタントにJ1に出場している。実戦での経験不足が指摘されていた守備陣も、アルビレックス新潟でレギュラーとして活躍している鈴木大輔と酒井高徳がけがから復帰した。
 コマが揃いつつある点は朗報だが、一抹の不安は残る。この世代のメンバーは、2大会連続でU‐20W杯出場を逃している。勝てば出場権を得られたU‐19アジア選手権の準々決勝で宿敵韓国に、それも技術や戦術より心の部分で屈した図式も同じ。肝心な場面で顔をのぞかせるひ弱さが、特に高温多湿の悪条件下で行われる第2戦に暗い影を落としているのも事実だ。


 昨年10月のU‐19アジア選手権には当時19歳だった指宿も出場。韓国戦で涙を流したが、2対0から逆転される屈辱の中で日本の全ゴールを決めて一人気を吐いたのも指宿だった。  
 柏レイソルのユース育ちの20歳。トップチームへの昇格が難しいと判断するや、18歳にして単身でスペインの地に乗り込み、2部のジローナと正式契約。武者修行としてレンタルされた4部相当のレアル・サラゴサB、そして3部のサバデルでの2年間で24ゴールをマークした。
 スペインといっても、下部リーグになれば必然的にプレー環境も劣悪になる。ましてや、言葉も文化も慣習も日本とは違う異国での挑戦。心身がタフにならなければ結果は残せない。


 第2戦が行われるモハマド・アルハマド・スタジアムは、日本国内ほど整備されてはいない恐れが十分にある。日本の武器のひとつであるパスワークが劣悪な状態のピッチに遮断された場合には、空中で制空権を握ることのできる指宿が必要になる場面が訪れるのではいか。
 クウェートのセットプレー時では守備でも貢献するだろう。何よりもゴールを残すことでしか存在価値を示せない外国人選手として、「たとえ上手くなくても、ゴール前のここという場面で相手DFより一瞬でも早くボールに触れればいい」を身上にしながらスペインの下部リーグを生き抜いてきた指宿のプレースタイルは、若いJリーガーや大学生を鼓舞してやまないはずだ。


 チームは13日に集合。静岡県内での最後の強化合宿を経て、16日に豊田市入りする。トータルで予定されているトレーニングは10回。チームに指宿をフィットさせる時間はまだ残されている。
 それでも、指揮官は未知数の戦法にトライするよりも、絶対的なエース永井を軸に初制覇を成し遂げた昨秋の広州アジア大会のメンバーをベースに、昨年10月のチーム立ち上げ時から浸透させてきた攻守のコンセプトを磨き上げる堅実なプランを選択した形だ。
関塚監督「相手を恐れることなく、90分の中で自分たちの形をどう生かしていけるか。ここをまずは出していきたいと思っています。今までやってきたことをブラッシュアップして、この2試合に向けてチームを固めて、機能性を高めていくことが大事だと考えています」


 2月の中東遠征と3月のウズベキスタン遠征で招集された宇佐美は、その結果として今現在のチームにフィットしないと判断された。宮市に関しては「手元に置いてみてみたい」と望んではいるものの、クウェート戦の直前というタイミングもあって見送らざるを得なかったという。
関塚監督「チームとして機能するメンバーを招集した、ということです」
 磨きあげてきた「和」を重視したい指揮官の気持ちは理解できるが、一方で突出した「個」の存在が周囲に相乗効果を与えることも十分にあり得る。レギュレーションではキックオフの90分前までにベンチ入りする18人を提出することになっている。チャレンジなくして前進なし。特に「高さ」という絶対に武器を持つ指宿は、招集してみるメリットはあったのではないか。そう思ってやまない。

 
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2011年6月11日 04:01|記事URLコメント(2)トラックバック(0)

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コメント(2)

関塚さんは、あんまり冒険しないタイプの監督かもしれないですね。

宇佐美はこれまでの練習での態度や交代させられた時の態度がよくないという理由でメンバーから外れたと聞きました。これは前から自分も気になっていました。

インタビューでの受け答えも「俺は凄いんだ、俺にまかせておけ」という感じが随所に見え、ビッグマウスだと思っていました。
しかしそうかと思うと謙虚に自分を客観的に見ておごることなくもっと頑張らなきゃいけないという面も見せていたので、メンバー招集されるのを期待していたのですが・・・

宇佐美、指宿、宮市は日本の武器になるはずです。せっかくの武器、使わなければ武器は武器ではないと思います。

なおき様

 コメントありがとうございます。ベンチ入りする18人のメンバー登録はキックオフの90分前までなので、指宿をチームにフィットさせるチャレンジをする時間は残されているかと思うのですが。今週いっぱいは合宿を行うわけですしね。
 宇佐美にしても、先のキリンカップで招集されながら起用されなかったことで、ザッケローニ監督にいい意味で天狗の鼻をへし折られたはずなんですが。
 ともかく、日本サッカー界全体の未来を考えた場合、2大会連続でU‐20W杯に出場できなかったこの世代には何としても来年のロンドン五輪に出場してほしい。19日の第1戦に注目したいと思います。

スポーツタイムズ通信社
藤江直人

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