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なでしこジャパンにまつわる「明」と「暗」の2つのニュース  by 藤江直人

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 日本中に興奮と感動をもたらした先のW杯初優勝に続き、来夏のロンドン五輪でも夢の金メダル獲りに挑むなでしこジャパンに強力なサポート体制が敷かれることになった。
 9月1日から中国・済南で集中開催されるロンドン五輪女子サッカーアジア最終予選で、専属の栄養士がなでしこジャパンに帯同することが明らかになった。男子のA代表では珍しくなくなった栄養士のチーム帯同だが、今年で活動開始30年の節目を迎えた日本女子代表では初めてのケース。逆境を覆しての世界制覇が日本サッカー協会を動かし、アジアに2枚しか与えられていないロンドン五輪切符獲得へ、万全のコンディションをつくりあげる環境が整えられた。


 今回のアジア最終予選は日本の他に中国、韓国、北朝鮮、オーストラリア、タイの6か国が進出。なでしこジャパンは9月1日のタイ戦を皮切りに、韓国、オーストラリアと中1日で、北朝鮮、中国とはそれぞれ中2日で総当りのリーグ戦を行う過密なスケジュールが組まれている。
 それだけに、大会期間を通じてコンディションを維持することは最も重要なテーマとなる。しかも、中国においてはとりわけ水と油の摂取に細心の注意を払わないといけない。宿泊するホテルで出された食事を口にして体調を崩してしまうことも十分に考えられるだけに、日本サッカー協会はかねてから国立スポーツ科学センター(JISS)と交渉を重ねてきた。


 2006年から日本サッカー協会の女子委員長を務めているなでしこジャパンの初代監督・上田栄治氏は、日テレ・ベレーザ対伊賀FCくの一の視察で訪れた平塚競技場で「期間限定のサポートですが、JISSから栄養士を派遣してもらうことになりました」と笑顔で明言した。
 日本食用の食材、特に白米が中国国内で調達可能かどうか、といった点を確認するために、近日中に日本サッカー協会の総務担当者が済南入りする予定になっている。
 今回のW杯では試合が行われる都市のホテルを転々としたが、ドイツ国内で新型大腸菌が猛威をふるっていたこともあり、生野菜の摂取を自粛するなど試合以外に余計な神経を割いた。


 ドイツとの準々決勝翌日は在ドイツ日本領事の邸宅で、スウェーデンとの準決勝の翌日にはフランクフルト市内の和食店でご無沙汰にしていた日本食を堪能。食べ慣れた味が選手たちの士気をあげたことも、専属栄養士の帯同を後押しする要因となったのだろう。
 それだけに、食のエキスパートの存在は心強いばかり。選手たちのエネルギー源となる食に対するきめ細かいサポートが明るいニュースならば、もうひとつのニュースは対極の位置にある。
 チーム最年少の18歳でW杯メンバーに抜擢されたFW岩淵真奈(日テレ・ベレーザ)が右足首に強い痛みを訴え、最悪の場合、五輪最終予選を欠場する恐れがあることが明らかになった。


 岩淵が右足首を痛めたのは、後半21分から途中出場したドイツとの準々決勝。けがの影響からかプレーに精彩を欠き、1点をリードした延長後半11分にベンチに下がっている。
 当初は軽度のねん挫と診断され、アメリカとの決勝戦でも延長後半の残り数分からピッチに投入されている。しかし、帰国後に強い痛みを訴え、検査の結果、骨の内部に炎症を起こしていることが判明。まったく練習ができない状態が続き、伊賀FCとの一戦もベンチから外れた。
 日テレ・ベレーザの関係者は「ドイツ戦で負ったけがが思ったよりも重傷でした」と明かした上で、「五輪最終予選は厳しいと思う。まだ若いのでしっかりと治させたい」と続けた。


 2008年に開催されたU‐17女子W杯で、日本チーム自体は準々決勝で敗退しながら大会MVPを獲得した岩淵の武器は切れ味の鋭い高速ドリブル。今回のW杯でもニュージーランドとの初戦でフィールド中央から臆することなくドリブル突破を仕掛け、ペナルティーエリアのすぐ外で相手のファウルを誘発。MF宮間あやの決勝フリーキックをお膳立てしている。
 膠着状態を一瞬にして打開できる可能性を秘めたスーパーサブとして、佐々木則夫監督もスウェーデンとの準決勝を除く5試合で岩淵を後半途中から投入。計算できる選手の一人として数えているだけに、五輪最終予選欠場となれば青写真の修正を余儀なくされるだろう。


 伊賀FC戦後にはW杯の凱旋挨拶が行われ、右足首をテーピングで固めた岩淵はDF岩清水梓ともに花束を贈られ、ベレーザ史上で最多となる3750人のファンから大歓声を浴びた。
「このフィーバーが今だけにならないように、なでしこリーグで頑張っていきたい」
 苦手という挨拶を何とか終えた岩淵だが、現時点で復帰の時期は未定。上田女子委員長も「心配です」と表情を曇らせ、試合後にはベレーザの野田朱美監督に次代のエースの状態を確認していた。
 記者席から視察しようとした佐々木監督の周囲にファンが殺到。一時は収集がつかなくなる状況を招くなど、空前のなでしこフィーバーはまだまだ収まる気配がない。その一方で、真価を問われる新たな戦いは刻々と迫っている。8月上旬にはW杯メンバーをベースにした代表20人が発表。17日からは都内で第1次強化合宿を行うスケジュールがすでに組まれている。


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2011年7月31日 02:18|記事URLコメント(0)トラックバック(0)

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