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W杯予選メンバー決定。振り出しに戻った「ポスト遠藤」探し by 藤江直人
日本サッカー協会は25日、W杯ブラジル大会出場をかけたアジア3次予選初戦の対北朝鮮(9月2日@埼玉スタジアム)、第2戦の対ウズベキスタン(同6日@タシケント)に臨む日本代表メンバーを発表した。アルベルト・ザッケローニ監督が選んだ23人は下記の通りだ。
GK 川島永嗣 リールセ(ベルギー)
西川周作 サンフレッチェ広島
権田修一 FC東京
DF 駒野友一 ジュビロ磐田
今野泰幸 FC東京
栗原勇蔵 横浜F・マリノス
伊野波雅彦 ハイデュク・スプリト(クロアチア)
槙野智章 ケルン(ドイツ)
内田篤人 シャルケ(ドイツ)
吉田麻也 VVVフェンロ(オランダ)
MF 遠藤保仁 ガンバ大阪
中村憲剛 川崎フロンターレ
阿部勇樹 レスター・シティー(イングランド)
長谷部誠 ボルフスブルク(ドイツ)
細貝萌 アウグスブルク(ドイツ)
柏木陽介 浦和レッズ
FW 李忠成 サンフレッチェ広島
岡崎慎司 シュツットガルト(ドイツ)
本田圭佑 CSKAモスクワ(ロシア)
森本貴幸 ノバーラ(イタリア)
香川真司 ドルトムント(ドイツ)
清武弘嗣 セレッソ大阪
原口元気 浦和レッズ
同じく23人が招集された8月10日の韓国戦のメンバーからGK東口順昭(アルビレックス新潟)、MF家長昭博(マジョルカ)、FW松井大輔(ディジョン)の3人が外れ、GK権田とMF中村が復帰。A代表歴のない20歳の原口がロンドン五輪世代から抜擢された。
いわゆるサプライズ招集。ザッケローニ監督のコメントにも原口への期待感が込められる。
ザッケローニ監督「現在と未来を考えた時に、原口は非常にいいものを持っているし、今年に入ってから非常に成長している。Jリーグでもいいレベルで、継続性をもってプレーしている。彼のクオリティーも考えた上で、A代表の準備ができてきたと思ったので招集した。スピードの中での高い技術力というのが原口の一番の能力だと思うので、そこを見せてほしいと思う」
しかし、本当の意味でのサプライズはボランチの位置に配されるMF陣の人選にあった。
質疑応答における最初の質問は原口に関してではなく、アルゼンチンおよび韓国と連戦した昨年10月の国際親善試合以来の代表復帰となった中村の招集理由に対してだった。
ザッケローニ監督「ご存知のように、私とテクニカルスタッフ全員でJリーグの試合をすべて把握している。中村は体調を崩していた時期もあるが、リーグに復帰してクオリティーの高いプレーを見せてくれているので、代表復帰に値するのではないか、と思った。中村は真のプロフェッショナルだし、フィジカル面でもメンタル面でもいい状態にある。グループの中で協調できる性格でもある。これまでも言ってきたことだが、年齢に関係なく代表チームの門戸は常に開かれている」
もっとも、ザッケローニ監督は昨年9月の就任以来、世代交代によるA代表の新陳代謝も積極的に推し進めてきた。これまでの選手招集の傾向を見ると、原則として30歳になった、あるいはその年にうちに30歳を迎える選手、いわゆるベテランを一度A代表から外し、同じポジションで年齢的に若く、心技体で伸びしろのある選手を積極的に抜擢してきた。
3年後に開催されるW杯本大会を見据えれば必要不可欠な手法であり、若手選手の突き上げが競争意識を刺激し、結果としてチームを力強く推進させていくのは言うまでもない。しかし、例外のポジションがひとつだけある。日本歴代4位となる109キャップを数え、類希なパスセンスとボールキープ力でA代表の心臓部に君臨する遠藤は、今年1月に31歳となって以降も不動の存在だった。
もちろん、自身にとって3度目のW杯予選となる今回のメンバーにも遠藤の名前は刻まれている。同じタイプのプレーメーカーとして真っ先に名前が挙がるのは中村だが、遠藤と同じ1980年生まれであり、次回W杯を前者は34歳5か月、後者は33歳7か月で迎えることになる。
30歳以上の選手がすべてNGとは、もちろん一概に言えることではない。それでもザッケローニ監督は「非常に安定しているし、計算ができるので」とベテラン勢の実績とプライドに敬意を表しながらあえて代表から一度外し、務めて若手や中堅組にチャンスの場を与えてきた。
その中で指揮官の期待に応え、A代表の中で確固たる居場所を築いたのが24日に23歳になったばかりの吉田であり、前田遼一(ジュビロ磐田)からポジションを奪った25歳の李となる。
そして、6月のキリンカップ期間中に、ザッケローニ監督はいわゆる「ポスト遠藤」に初めて言及している。白羽の矢を立てられたのは家長だった。セレッソ大阪や現在所属するマジョルカで攻撃的MFを務める25歳のレフティーへ、指揮官はその潜在的な能力に大きな期待を寄せていた。
「アキ(家長)をセントラル・ミッドフィールダーで起用しようと思っている。不慣れなポジションで戸惑いはあるかもしれないが、彼の能力からして十分にできると思っている」
6月7日のチェコ戦。後半19分から遠藤との交代で実に1536日ぶりとなる国際Aマッチのピッチに立った家長は、先の韓国戦でも3対0と大勢が決した後半28分から再び遠藤に代わってボランチの位置に入り、すでに長谷部と代わっていた阿部とコンビを組んだ。
もっとも、チェコ戦こそ無難にプレーした家長だったが、韓国戦では彼が投入された直後から日本がバタバタしてしまう。ビッグチャンスをつくられること4度。ザッケローニ監督は香川に代えてボランチが本職の細貝を投入し、家長を2列目に上げることで試合を落ち着かせた。
「本田、香川、李といった前線の選手が疲労して、なかなかボールをキープすることができず、ボランチの選手に対してプレーの選択肢を与えられなかったことが大きいと思う」
韓国戦後の会見で不動のコンビである遠藤と長谷部が不在だったことの影響を否定していたザッケローニ監督だったが、歴史的な快勝の余韻に浸ることなく、「明日からは修正点も分析しないといけない。2、3の修正点を見つけていこうと思う」とも付け加えている。
そうした修正点の一部が、今回の招集メンバーの変更に表れていると見るのは至極当然と言っていいだろう。何よりも結果が問われるW杯予選という公式戦においては、遠藤にまさかの事態が起こったときに備えてリスクマネジメントを徹底しておかないといけない。
何も家長が「ポスト遠藤」として失格の烙印が押されたわけではない。しかし、不慣れなポジションで経験を積ませる舞台としては、何が起こるかわからないW杯予選は相応しくない。
同じく中盤の底で長短のボールを散らせる選手として23歳の柏木も招集しているが、キャップ数はわずかに2つ。圧倒的に経験が足りない。若手および中堅に経験を積ませるはずだった7月のコパ・アメリカ出場を辞退した弊害とも言えるが、過去を嘆いても何も始まらない。指揮官は52個のキャップを持ち、前回南アフリカ大会のW杯予選も経験している中村を迷うことなく復帰させたわけだ。
会見の終盤にも中村の復帰に関する質問が飛んだ。いわく「今までもさまざまな選手を試してきたが、なぜここで中村なのか」と。ひな壇の指揮官は、10月に31歳になる中村のプライドを尊重しながら、すべての日本人選手に向けてのメッセージを発信している。
ザッケローニ監督「やはりリーグ戦での戦いぶり、ピッチの上における結果というものが、再び中村を代表に呼び戻させたのだと思う。それだけの話だ。彼は非常に高いクオリティーを持っているし、経験が豊富だし、パスの精度も高い。これらに加えて、30歳をすぎても向上心を失わずに、常に成長したいという気持ちを持っている。そういったところを期待したい。若い代表チームに、経験豊富な選手たちがうまく融合しているというイメージでいる」
もちろん、中村の心の中で日の丸への憧憬の思いが潰えたわけではなかった。
土砂降りの雨の中で行われた5月29日のガンバ大阪戦。視察に訪れていたザッケローニ監督の目の前で、左足で同点のミドルシュート、右足で逆転のFKを決めた中村は、日本代表監督の存在を意識したのか、というメディアの問いにプライドを込めながらこう答えている。ガンバ戦の直前にキリンカップの代表メンバーが発表されていたが、そこには中村の名前は刻まれていなかった。
「それ(意識すること)はないというか......選手を選ぶ、選ばないは監督の判断で、僕は選ばれなかっただけ。常にクオリティーの高いプレーをし続けていかないと。今までもそうしてきたから」
ベストの心技体でいる限り必ずチャンスは巡ってくる。自らにそう言い聞かせていた。
脱臼した右肩の状態が万全ではないと判断され、招集を見送られたDF長友佑都(インテル)に代わって左サイドバックを務めるであろう30歳の駒野。韓国戦に続いて招集された阿部はウズベキスタン戦当日に30回目の誕生日を迎える。中村とともにそろって一度は代表から遠ざかりながら、ベテランと呼ばれる所以でもある安定感を指揮官は常に注視していた。
ザッケローニ監督「ピッチでいいものを見せてくれれば、年齢に関係なく、代表チームにはいつでも入れるというメッセージが読み取れると思う。残念ながら、韓国戦で招集されながら今回は招集されなかった家長と松井に関しても、彼らの能力はよく把握している。彼らのことは注目して見ているので、今回の結果に左右されずに、ピッチ上で引き続きいいものを見せてほしい」
会見では若手の抜擢を公言しながら、1月のアジアカップ以降でロンドン五輪世代からA代表に食い込んだのが原口と清武の2人という現状に対して、その多寡を問う質問も飛んだ。
ザッケローニ監督「一概には言えないが、若い選手をA代表につれてくることに関しては、自分自身に迷いはない。Jリーグにしても海外リーグにしても、若くして活躍している日本人選手はいる。彼らの活躍次第で、A代表に呼ばれるということは今後もあるだろう」
答えを巧みにはぐらかされてしまった感があるし、W杯3次予選、最終予選と続く今後の戦いにおいては、新戦力をテストをする場も極端に限られてくるだろう。特に「ポスト遠藤」探しに関しては振り出しに戻ったと言っても決して過言ではない中で、ザッケローニ監督はベテラン勢の力を借りながらチームを安定させ、9月2日の北朝鮮戦へ向けて万全の状態に仕上げることに当面は全力を注ぐ。
2011年8月25日 23:54|記事URL|コメント(3)|トラックバック(0)
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コメント(3)
リーグ戦5連敗中の川崎の中村憲剛。人一倍責任感の強い彼の今の気持ちを考えると、今週末のアウェー柏戦になんとか勝って、気持ちを少しでも落ち着かせてW杯3次予選を戦ってほしいです。言い方は悪いかと思いますが、今回のW杯代表メンバー復帰で気分転換になればいいかなとも思います。
憲剛が代表に呼ばれるのは嬉しいのですが、頻繁に代表に呼ばれるようになるとリーグ戦、カップ戦が不在になる場合もあるので複雑な心境です・・・今年こそ初タイトル!!なんで。
遠藤に代わるボランチの選考、難しいですよね。家長は2列目の左のポジションが力を発揮できる気がします。マジョルカでやっているような瞬間的に相手をかわして縦に抜けクロス、中に切れ込んでのシュートなど、彼は活き活きしてますね。
W杯予選中にW杯予選の経験の少ない選手を試すのも難しいですね。ザックの悩みどころでもあると思いますが、必ず日本代表を2014年ブラジルW杯へ連れて行ってほしいです。
なおき様 いつもコメントありがとうございます。願いも届かず、柏レイソル戦は残念な結果に終わってしまいましたね。幸いにもW杯予選の関係でリーグ戦が中断するので、ここでしっかりと立て直せるか、という点にフロンターレの捲土重来がかかっているのではないでしょうか。
その間に中村憲剛には日本代表でのヒリヒリするような経験を再び身に刻んで、中断明けのフロンターレに還元することができれば。家長が今回外れた件については、やはりボランチとしての経験を積ませるには、W杯予選という場は異質すぎたのでしょう。
日本代表の2列目にはタレントが豊富なだけに、3年後のW杯を見据えて、家長にはセントラル・ミッドフィールダーでのチャンスを生かしてほしいところですが。今後とも宜しくお願い致します。
スポーツタイムズ通信社 藤江直人
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