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故障者続出の状況下で問われるザックの危機管理能力  by 藤江直人

故障者続出の状況下で問われるザックの危機管理能力  by  藤江直人


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 日本サッカー協会は9月29日、ベトナム代表との国際親善試合(10月7日@ホームズスタジアム神戸)とタジキスタン代表とのW杯アジア3次予選第3戦(10月11日@長居スタジアム)に臨む日本代表メンバー23人を下記のように発表した。


GK 川島永嗣      リールセSK(ベルギー)
   西川周作      サンフレッチェ広島
   権田修一      FC東京


DF 駒野友一      ジュビロ磐田
   今野泰幸      FC東京
   栗原勇蔵      横浜F・マリノス
   伊野波雅彦     ハイデュク・スプリト(クロアチア)
   長友佑都      インテル(イタリア)
   槙野智章      ケルン(ドイツ)
   吉田麻也      VVVフェンロ(オランダ)


MF 遠藤保仁      ガンバ大阪
   中村憲剛      川崎フロンターレ
   阿部勇樹      レスター・シティー(イングランド)
   長谷部誠      ボルフスブルク(ドイツ)
   増田誓志      鹿島アントラーズ
   細貝萌       アウグスブルク(ドイツ)


FW 藤本淳吾      名古屋グランパス
   李忠成       サンフレッチェ広島
   岡崎慎司      シュツットガルト(ドイツ)
   ハーフナー・マイク ヴァンフォーレ甲府
   香川真司      ドルトムント(ドイツ)
   清武弘嗣      セレッソ大阪
   原口元気      浦和レッズ


 北朝鮮、ウズベキスタン両代表と対戦した9月の2試合に当初招集された23人から、FW本田圭佑(CSKAモスクワ)、森本貴幸(ノバーラ)、DF内田篤人(シャルケ)がけがで招集されず、MF柏木陽介(浦和レッズ)と追加で招集されたFW田中順也(柏レイソル)も今回は見送られた。
 一方で同じく追加で北朝鮮戦前日にチームに加わり、3次予選の2試合に途中出場したFWハーフナー・マイクと、ウズベキスタン戦直前に急きょ呼ばれたMF増田誓志は再び名前を連ね、右肩の脱臼で戦列を離れていたDF長友佑都も待望の復帰。さらに日本が優勝した1月のアジアカップを最後に呼ばれていなかった藤本淳吾が、FW登録でA代表復帰を果たした。


 年内に行われるA代表戦は4試合。11月は11日にタジキスタン戦、15日には北朝鮮戦とアウェーにおけるW杯アジア3次予選が続くこともあり、日本サッカー協会の原博実強化担当技術委員長は「新しい戦力を試せるとしたら10月の2連戦になる」と見通しを語っていた。
 実際に宮市亮(アーセナル)や宇佐美貴史(バイエルン・ミュンヘン)ら若手の海外組勢が所属するクラブへは、規定に則ってベトナム戦の2週間前までに招集レターを送付。アルベルト・ザッケローニ監督のリクエストに応える態勢を整えていたが、内田の故障を受けてU‐22代表の右サイドバック酒井宏樹(柏レイソル)を試す件を含めて、指揮官は新戦力のテストを見送る決断を下した。


 厳しい表現をすれば「変わり映えのしないメンバー」となった背景にあるのは、9月の2試合で不動のトップ下だった本田を欠いた布陣が機能しなかったことに尽きるだろう。
 ザッケローニ監督は北朝鮮で柏木を、ウズベキスタン戦では本来はボランチの長谷部誠をトップ下に据えたがいずれも機能せず、ウズベキスタン戦では先制点も奪われている。
 日本の攻撃が活性化したのは後半に入って清武弘嗣を右サイドに投入し、香川真司を左サイドからドルトムントにおける定位置でもあるトップ下に移してからだった。北朝鮮戦の後半ロスタイムに飛び出したDF吉田麻也の決勝ゴールを、清武のクロスがアシストしたシーンはまだ記憶に新しい。


 21歳の清武に少しずつ自信をつけさせ、慎重に育てるプランを描いていたであろうザッケローニ監督は、W杯アジア2次予選ですでにカタールに敗退しているベトナムとの国際親善試合を、清武を初先発させる絶好のチャンスとしてとらえていたはずだ。
 しかし、U‐22代表の主軸も務める清武が、21日に行われたマレーシアとのロンドン五輪アジア最終予選の終了間際に右足を痛めたことで青写真は微妙に狂い始める。右足内転筋の挫傷で全治2週間と診断された清武はしかし、セレッソ大阪の一員として出場した27日の全北現代(韓国)とのACL準々決勝で強行出場。患部を悪化させ、29日に再び全治2週間と診断された。


 29日の会見の席上で、原技術委員長は代表メンバー選出にある「注釈」をつけている。 
「海外組、国内組も含めてけが人がいます。その中で今日発表した23人は、週末の試合後の状況をにらんで、もしけが人が出た場合はすみやかに選手を入れ替えます。清武については今日もクラブ関係者、チーム強化関係者、あるいはドクター、トレーナーと連絡を取り合い、発表メンバー23人に入れるということはクラブから了解をもらっています。その上で病院に行ってチェックをしたり、週末までのコンディションなどを見てどうするか。監督がどうこうの前に、まずは現場で清武自身のコンディションを協会とクラブで把握している状況です」


 ベトナム戦で「トップ下・香川、右サイド・清武」の布陣を強固なものにしたいと考えていたザッケローニ監督は、一転して不測の事態に備えて対策を講じなければならなくなった。
 それを如実に物語っているのが藤本の復帰となるのではないか。指揮官は9月の2試合から、4‐2‐3‐1の「3」と「1」を担う選手を、FWとして一緒くたに登録している。前述の部分で本田をFWとしたのもそのためで、香川も清武も現在のA代表ではFWの範疇に入っている。
「藤本については昨シーズンはサイドでプレーしていたのでサイドの選手という認識があるが、今シーズンは真ん中でプレーしている。両方のポジションでプレーできる選手だと思っている」


 オーストラリアとのアジアカップ決勝では、ザッケローニ監督は藤本を右サイドで先発させている。27歳のレフティーを右サイドに、あるいはトップ下に据えた布陣が機能するのか。
 または、9月の2試合から抜擢されながらまだA代表のキャップを獲得していない20歳のFW原口元気を得意とする左サイドに配し、トップ下の香川とのコンビネーションを試すのか。
 さらに言えば、右足の内転筋に違和感を訴え、ウズベキスタン戦ではセットプレーのキッカー役を回避したMF遠藤保仁への不安も解消されていない。同じポジションのMF中村憲剛も右足親指の付け根の骨折から復帰しばかりという状況を踏まえ、増田を引き続き代表に招集したのだろう。


 内田が離脱したサイドバックは幸いにも長友、駒野友一がともに左右両方をこなすことができるし、右は伊野波雅彦、左は槙野智章がすでに国際Aマッチの舞台を経験している。
 今は若い酒井を試す状況ではないという判断に至ったことは容易に察しがつくし、右ひざ半月板損傷の手術を受けた本田の年内復帰が困難になった中で、攻撃陣を再編成することが何よりも急務だったのだろう。ザッケローニ監督は会見で対応策にこう言及している。
「ひとつは形を変えて、もうひとつは選手を変えて対応する。最初の試合でそういった点をチェックして、その結果を2つ目の試合で最大限に生かした戦い方ができればいいと思っている」


 10月3日から兵庫県内でスタートする合宿は、初日を除いてすべてが冒頭15分以外は非公開とされた。いわば「ザックのカーテン」を敷く中で、3‐4‐3というトップ下の選手を置かない別の「形」に習熟させることを含めて、本田不在のまま戦わざるを得ないアジア3次予選への戦略を練り直す。
「北朝鮮戦とウズベキスタン戦では本田だけでなく長友もいなかったが、北朝鮮戦は私が監督に就任した後の代表戦の中で最もチャンスを作っていた試合だった。本田をはじめとする大切な選手は違いをもたらすことができる選手だと思っているが、そういう選手がいないわけだから、上手いところでバランスを見つけて、チーム力を高めて対応していきたいと思っている」


 昨年8月の就任以来、世代交代によるA代表の新陳代謝を公約のひとつに掲げ、実際に若手を大胆に抜擢してきたザッケローニ監督のプランは、ここにきて停滞を余儀なくされた。
「招集メンバーを選ぶのは大変な作業で、他にも代表チームに入ってくるべき選手、頑張っている選手、クオリティーが高い選手は大勢いる。残念ながらメンバーに入れなかった選手も不合格の烙印を押されたと思わず、これまで日々のトレーニングに励んでほしいと思っている」
 淡々とした口調で、表情を変えることなく全選手へメッセージを送った指揮官だが、不慮の負傷者が相次ぐこの状況をどう乗り越えていくのか。危機管理能力が問われようとしている。


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2011年9月30日 03:13|記事URLコメント(0)トラックバック(0)

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